エネルギー・鉱物資源相、鉱業の「下流化」継続方針を明らかに

(インドネシア)

ジャカルタ発

2024年09月27日

インドネシアのバフリル・ラハダリア・エネルギー・鉱物資源相は9月20日、ジョコ・ウィドド大統領が力を入れてきた鉱物資源にかかる下流化政策(注)について、10月に発足するプラボウォ・スビアント次期政権でも継続して実施する方針であると明らかにした。同相は「ニッケルについては下流化が順調に進行している」と述べたうえで、次期政権ではボーキサイトやスズ、銅など他の品目にも取り組むとの考えを示した(「ビスニス」9月20日)。

インドネシアでは、新型コロナウイルス禍で建設が遅れていた銅製錬所や貴金属製錬所(2023年3月14日記事参照)の完成や生産開始が続いている。インドネシアの鉱業会社アンマン・ミネラル・インターナショナルは9月23日、西ヌサトゥンガラ州西スンバワ県で建設していた銅製錬所と貴金属製錬所の完成式典を行った。製錬所への投資額は21兆ルピア(約1,995億円、1ルピア=約0.0095円)で、銅精鉱の処理能力は年間90万トン。そのほか、銅カソード22万トン、金18トン、銀55トン、硫酸85万トンを生産可能だ。式典に出席したジョコ大統領は「世界7位の埋蔵量を誇るインドネシア銅産業の下流化は新たな段階に入った。本製錬所の稼働は西ヌサトゥンガラ州の域内総生産を増加させるほか、地域社会に雇用を生み出す」と語った(9月23日付内閣官房プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

また、米国のフリーポート・マクモラン(Freeport-McMoRan)とインドネシアの国営鉱業企業マインド・アイディ―(Mind ID)との合弁会社であるフリーポート・インドネシアも9月23日、東ジャワ州グレシック県のジーペ(JIIPE)工業団地外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで完成した銅製錬所の生産開始を発表した(9月23日付同社プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。製錬所の投資額は56兆ルピアで、銅精鉱の処理能力は年170万トンに達する。銅カソードを年90万トン、金を年50トン、銀を年210トンそれぞれ生産可能だ(「ジャカルタグローブ」9月23日)。ジョコ大統領は「製錬所の稼働が、東ジャワ州の歳入に好影響を与え、効果は80兆ルピアに達すると推定される。産業下流化がもたらす経済効果は、原材料のみを輸出する場合に比べて非常に大きい」と述べた(9月23日付内閣官房プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注)サプライチェーンの川下を含めた高付加価値化のことで、政府は下流化(hilirisasi)という単語を多く用いる。鉱業の高付加価値化を目指し、ニッケルの未加工鉱物状態での輸出を2020年1月から禁止しているほか、ボーキサイト鉱石の輸出も2023年6月から禁止している。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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