2023年6月からの未加工鉱物の禁輸、銅・スズ・金は延期を示唆

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年03月14日

インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は、2023年6月から予定していた未加工鉱物の全面輸出禁止について、銅、スズ、金の3品目について延期を示唆した。他方、ボーキサイト鉱石は予定どおり(2022年12月13日記事参照)輸出禁止にするとしている。

エネルギー・鉱物資源省のイルワンディ特別補佐官は「2020年1月から輸出禁止としたニッケル鉱石に続き、今年6月からボーキサイトも確実に禁輸を開始する。銅、スズ、金は調整中で、大統領の決断次第だ」と述べた(「コンタン」紙3月10日)。

同氏は銅について、新型コロナウイルス感染拡大の影響で製錬所の建設が遅れていると説明。米国系合弁企業フリーポート・インドネシアと現地企業アンマン・ミネラル・ヌサ・トゥンガラがそれぞれ建設中の製錬所だが、完成は2024年末になる見通しと述べた。

スズについては、国内の加工能力が十分でないと指摘した。コンタン紙によれば、インドネシアスズ輸出協会(AETI)のジャビン・スフィアント事務局長は「われわれは現時点で、スズの川下産業にかかる整備が十分にできていない」と発言し、禁輸延期を望む意向を示している。

インドネシア政府は2020年の鉱業法(法律2020年第3号)で、施行日(2020年6月10日)の3年後から、原則、未加工鉱物にかかる輸出を全面禁止にするとしていた。

一方、ニッケル鉱石については2020年1月から先んじて輸出を禁止している。なお、この禁輸措置をめぐってはEUとの係争に発展しており、WTOの紛争解決機関(DBS)が、禁輸措置はWTOの規定違反との報告書をまとめたが、インドネシア政府は報告書の見直しを求めて上訴している。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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