タクシン元首相、14の経済対策を提言

(タイ)

バンコク発

2024年09月03日

タイのメディア「ネーショングループ」が8月22日に主催したイベント「ビジョン・フォー・タイランド 2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Vision for Thailand 2024)」で、タクシン・チナワット元首相はタイ経済に対するビジョンを述べ、演説を行った。同イベントにはタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ会長や電力会社ガルフ・エナジーの最高経営責任者(CEO)らも参加した。

タクシン氏は講演で、政府に対して14項目の経済対策を提案した。14項目では、家計と企業債務の再構成など債務問題の解決を最優先することや、中央銀行の独立性を尊重しながら経済対策を調整すること、データセンターやグリーンエネルギー促進など産業構造の改革、テクノロジーによる行政改革が必要だと強調した。また、中国製品の検査厳格化など中国製品との競争が激化している問題を解決することや、外国人への土地賃貸期間の上限を99年に延長することについても提案した。さらに、洪水や干ばつの問題を解決するための公共事業や大規模投資プロジェクトの推進にも触れた。

タクシン氏は、デジタルウォレットにも言及。9月に1,450万人の貧困層や障害者に1万バーツ(4万3,000円、1バーツ=約4.3円)を現金で支給し、その他の対象者には2025年度(2024年10月~2025年9月)予算から調達し、デジタルウォレットを通じて10月以降支給する計画を述べた。

演説を行ったタクシン氏は、タイ貢献党の前身、タイ愛国党の創設者で、ペートンタン・チナワット首相の父親であることから、同党に対する影響が大きいとみられている。そのような中、19日には匿名の者からタイ貢献党の解党請求が選挙管理委員会に提出されている。タイ貢献党が同党にポストを持たないタクシン氏の指導を受けることは政党法に違反しているとの批判によるものだ。他方、ペートンタン首相は22日のタクシン元首相の講演について「タクシン氏は新政府の政策を発表したのではなく、自分のビジョンを述べただけだ」と述べ、政府の政策への関与を否定した(8月24日付「バンコク・ポスト」紙)。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ)

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