2025~2027年の経済中期計画を発表、エルドアン大統領も支持
(トルコ)
イスタンブール発
2024年09月18日
トルコ政府は9月5日、2025~2027年の経済政策に関わる中期計画を発表した。レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は中期計画に対して「全面的な信頼と支持
」を表明し、インフレとの闘いに断固とした姿勢で臨み、投資、生産、雇用、輸出、成長を優先すると強調した。
中期計画では、2024年のGDP成長率を3.5%と見込み、2025年の目標を4.0%とした(添付資料表1参照)。ジェブデット・ユルマズ副大統領は、地域の地政学的な緊張の高まりにより、2024年の成長予測が前回(2024~2027年:2023年9月19日記事参照)の計画より0.5ポイント下方修正されたと述べた。また、1人当たり所得を2027年に2万ドル超に目標設定した。
また、同計画では「物価の安定確保」を主目的に掲げ、インフレ率を2024年末時点の見込み値である前年比41.5%から2026年には9.7%と1桁台に抑え、2027年に7.0%まで収束させることを目標としている。ユルマズ副大統領は、中期計画が「経済が潜在的成長規模の達成を確かなものとし、長期的な安定成長の方向性を確立することを目的としている」と述べ、成長軌道がディスインフレ(物価上昇率の低下)の方向性に一致していると強調した。
中期計画では、輸入依存の削減に焦点を当てた貿易目標を設定しており、供給の安全性を確保しながら、マクロ経済目標に沿った輸入レベルを維持するため、鉱物、グリーンエネルギー資源の国内生産を促進し、輸入消費財の需要を抑制し、また、輸出産業に向けた研究開発とイノベーション能力の向上、グリーントランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資拡大に関するビジョンを提示し、技術革新、人的資本の強化、労働市場の活性化、ビジネスと投資環境の改善、非公式経済の削減にも重点を置いている。
中央政府の予算計画は添付資料表2参照。
トルコ商工会議所連合(TOBB)のリファト・ヒサルジュクルオール会頭は「経済界の主な期待は金融の安定と予測可能性の向上、インフレの1桁台への抑制、持続可能な成長、構造改革の優先化」とし、中期計画はインフレとの闘い、予測可能性、持続可能な成長に重要なロードマップを提供するものだと述べた。
(中島敏博)
(トルコ)
ビジネス短信 6703e04b701f9b8f