米エネルギー省、エネルギー効率化プロジェクトに1,690万ドル交付
(米国)
ニューヨーク発
2024年09月26日
米エネルギー省(DOE)は9月25日、エネルギー効率化・省エネのための一括補助金(EECBG)プログラムに基づく9回目の受給対象者を発表した。今回対象となったのは22の地方自治体とニューヨーク州で、総額1,690万ドルを交付する。
同プログラムは、超党派によるインフラ投資雇用法(IIJA)に基づいて資金提供される総額5億5,000万ドルの助成金の1つで、州・地方・部族政府によるエネルギー消費や化石燃料からの温室効果ガス(GHG)排出削減、エネルギー効率改善の導入計画を支援するために考案された。住宅・商業ビルのエネルギー効率監査の基準づくり、エネルギー効率の改善を目的とする政府庁舎や交通システムの改修など、14カテゴリー(注1)を対象として支援する。なお、本プログラムは非営利団体を含む公的部門が事業主体となるものが対象で、民間部門に対しては、同プログラムとは別に、インフレ削減法(IRA)の税額控除などで支援する。
今回助成を受ける主なプロジェクトは次のとおり。
- 米領プエルトリコ・バヤモン市: 警察本部に屋根取り付けタイプの太陽電池(ソーラーアレイ)と蓄電池システムを設置する。これらのシステムは、電力需要のピーク時や停電時の電力供給、再生可能エネルギー教育にも利用される(21万3,340ドル)
- オハイオ州コロンバス市: 非営利団体向けに無料の包括的エネルギー監査を提供する(77万8,900ドル)
- フロリダ州マイアミ市: 市所有の車両用に電気自動車(EV)と充電器を購入する。このプロジェクトには、自動車整備士を対象とした人材育成プログラムも含まれる(47万7,720ドル)
- アリゾナ州ナバホ郡:郡が所有する歴史的建造物の耐候性を高めるため、エネルギー効率の高い窓にアップグレードする(7万8,750ドル)
- ニューヨーク州ニューヨーク市: ネットゼロ排出(注2)目標の達成に向け、脱炭素化と強靭(きょうじん)化プロジェクトのための資金調達メカニズムを明確にし、推進するための政策アドバイザーを雇用する(687万5,730ドル)
- コロラド州プエブロ市: 公共および市が使用する太陽光発電式EV充電ステーションを購入する(16万1,870ドル)
- カリフォルニア州ウィティア市: 自治体運営エネルギー計画を策定し、所有する建物のエネルギー効率を改善する (14万540ドル)
EECBGプログラムは、ジャスティス40イニシアチブ(注3)に沿って実施され、収益の40%を恵まれない地域社会に還元することを目標としている。同プログラム詳細はDOEウェブサイトを参照。
(注1)このプログラムの対象となる14の取り組みについては、2023年4月にDOEが発表しているガイダンスを参照。
(注2)カーボンニュートラルと同義で使われている。
(注3)バイデン政権が環境正義を推進するために立ち上げた取り組み。連邦政府が州や地域社会と協力し、気候変動対策やクリーンエネルギーへの連邦政府の投資から得られる収益全体の少なくとも40%を地域社会に提供するプログラム。
(藤田ゆり)
(米国)
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