マレーシア、英国のCPTPP加入議定書を批准、7カ国目

(マレーシア、英国)

クアラルンプール発

2024年09月24日

マレーシア投資貿易産業省(MITI)は9月20日のプレスリリースで、英国の環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入議定書を、9月17日に批准したと発表した(MITIプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。マレーシアは、日本、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ベトナム、ペルーに次ぎ7番目に、本議定書への批准手続きを終えた。

英国の加入議定書は、英国および全てのCPTPP締約国による締結がそろわない場合、英国と6カ国以上の締約国が、2024年10月16日時点で同議定書を締結していれば、その後60日で発効する。英国政府は8月末時点で、ペルーの批准をもって、12月15日までにCPTPPへの加盟議定書が発効すると発表していた(2024年8月30日記事参照)。

CPTPPは、マレーシアにとって英国との事実上初の自由貿易協定(FTA)に当たり、今回の批准は重要な節目だ、とMITIは説明した。CPTPPが発効すると、マレーシアの対英輸出のうち94%の関税が即時撤廃される。特にパーム油、ココア、ゴム、電気・電子製品、化学品、機械設備での関税削減効果が大きいと見込まれる。また、英国の加入により、CPTPPがカバーする経済圏は、世界全体のGDPの15%に相当する15兆4,000億ドル(約2,215兆円、1ドル=約144円)に拡大するとも指摘した。

ザフルル・アジズ投資貿易産業相は、上記リリースおよび自身のSNSで、「英国をCPTPPのファミリーに迎えることができ、うれしく思う」「マレーシアにとって初の英国とのFTAが完成することで、巨大市場である英国への市場アクセスが改善されると確信している」とし、英国との加盟交渉妥結時と同様(2023年4月4日記事参照)、主にマレーシアからの輸出増の観点から歓迎した。マレーシア統計局によれば、2024年上半期時点のマレーシアの総輸出に占める英国のシェアは0.6%にとどまり、輸出相手としては20位。

同相はまた、「FTAの黄金律であるCPTPPにマレーシアが加盟したことで、同国の競争力は顕著に高まり、投資家の信頼が醸成され、輸出業者のグローバル・サプライ・チェーンへの統合が深化してきた」と、協定自体のマレーシアにとっての意義の大きさをあらためて強調した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア、英国)

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