ペルーのフジモリ元大統領が死去
(ペルー)
リマ発
2024年09月12日
ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領が9月11日に死去した。地元報道機関が一斉に報じた。86歳だった。1990年から2000年まで、日系人として初めて大統領を務めた。ハイパーインフレやテロリストへの対策で国民の生活や企業の事業環境の大幅な改善に貢献した。他方で、強権的な政治が非難され、2000年に日本に亡命するかたちで大統領の職から退いた。
大統領時代はハイパーインフレからの脱却に加え、経済財政省と中央銀行による緊縮財政と、国家戦略計画センター(CEPLAN、現在は内閣府の一部門)による計画的、かつ省庁横断的な視点による政策の実施の体制を構築。現在につながるペルーの近代化の礎を築いた。
また、国際社会との関わりの中では、ペルーの発展を目指す明確な方針を打ち出し、現在に至るまで続いている。フジモリ政権時代の1998年に、ペルーはロシア、ベトナムとともに、APEC加盟を果たした。その後、2008年と2016年、2024年にAPEC議長国を務めている。首脳会議が開催されるようになった1993年以降、議長国を3回担っているのは米国とペルーのみだ(日本は2回)。
地方振興や日本との関係強化も重視した。それまで歴代大統領が訪れることがなかった山岳地帯やアマゾン地帯の小規模集落にも足を運び、水道や電力の普及、教育・医療サービスの確立など、生活基盤の構築を行った。地方都市で地元企業や商工団体から日本市場に関心があるとの声を聞けば、ジェトロに直筆の依頼状を送り、日本市場セミナー開催の要請をすることもあった。
(石田達也)
(ペルー)
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