外資系銀行に聞く現下の銀行業務と見通し
(バングラデシュ)
ダッカ発
2024年08月23日
政変後のバングラデシュでは、政府機関などの主要ポストの人事交代が進む中、バングラデシュ銀行(中央銀行)総裁に就任したアーサン・モンズール氏(2024年8月19日記事参照)はメディアを通じ、銀行セクターのガバナンス強化、市場原理に基づく変動相場制への移行など、現下の課題や規制改革について発信を行っている(「フィナンシャル・エクスプレス」紙8月21日ほか)。また、サレフ・ウディン・アフメド財務・商業省担当顧問による、銀行セクターなどの規制改革の準備を進めているとの発言も報じられている(「デーリー・スター紙」8月20日)。ジェトロは、当地外資系民間銀行の1つのスリランカ系セイロン商業銀行(Commercial Bank of Ceylon、2023年3月9日記事参照)のバングラデシュ法人グルシャン支店(ダッカ市内中心部)のファイサル・ホック支店長に、現下の状況や今後の見通しについて聞いた(インタビュー:8月19日)。概要は次のとおり。
(問)貴行とグルシャン支店の概要は。
(答)当行は2003年に当地で法人設立、銀行業務を開始した。バングラデシュ法人はその後、クレジットレーティング(商業銀行への信用格付け)などに関する国内外のアワードを複数受賞した。現在は35の当地在外公館・関連機関や、日系企業を含む外資系グローバルカンパニーに、約300人の行員が本店と11支店で大企業から中小企業、個人の銀行口座開設、各種送金やコーポレートバンキング(法人金融業務)などに係る情報提供や支援を行っている。私は他の外資系商業銀行など含む当地の金融セクターで計23年のキャリアを有し、25人のスタッフとグルシャン支店を運営している。
(問)現下のバングラデシュの金融情勢と今後の見通しは。
(答)暫定政権の下、銀行関係を含む治安・安全の維持、銀行セクターで各種のオペレーションが着実に行われており、当支店の日々の業務に特段の支障は生じていない。例えば、輸入者のL/C(信用状)決済に関しても、当社と顧客間の関係によりケースバイケースではあるが、円滑な関連手続きと決済の実行に日々努めており、今回の政変前と比較しても悪影響は生じていない。短期から中期(3~4カ月程度)の見通しは、外資の法人設立や銀行口座開設、各種の許認可取得などは、各機関・セクターで政変後の立て直しが進む中、むしろ従来よりもスムーズに当局との手続きが進む可能性があると考えている。
(問)グルシャン支店の取り組み状況は。
(答)特に8月18日以降、私自身、多くの顧客からの照会や来訪への対応や、関連サポートを行っており、支店総出で業務に当たっている。例えば、当支店では法人・個人顧客の銀行口座の開設は必要書類を受領してから1週間前後、遅くとも2週間以内に対応している。上述の状況も踏まえ、個人としても関係が深い日本企業や関係機関の支援に、これまで以上に注力していきたい。
同国では輸入時のL/C開設や決済をはじめ、実務に係る実際の状況や外貨繰りなどは各商業銀行によって異なるケースも多いとみられるため、取引銀行との緊密な連携が引き続き重要となる。
(山田和則)
(バングラデシュ)
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