米民主党上院議員、自動車メーカーの顧客データ共有に関する調査求める書簡を連邦取引委員会に提出
(米国)
ニューヨーク発
2024年08月02日
米国連邦議会上院のロン・ワイデン議員(オレゴン州、民主党)とエドワード・マーキー議員(マサチューセッツ州、民主党)は7月26日、連邦取引委員会(FTC)に対し、自動車メーカー3社と、データの収集・分析・販売を行うデータブローカーとの間で顧客データを共有していることに関し、調査を求める書簡を提出した。
ワイデン氏の調査によると、ゼネラルモーターズ(GM)、ホンダ、現代は、インターネットに接続された車両から得た運転に関するデータ(急発進や急ブレーキの作動など)をブローカーのべリスクに販売し、べリスクはそのデータに基づいて運転習慣を採点してレポートにし、自動車保険会社やメーカーに販売していた。書簡では、各メーカーによる情報の取り扱いに関する一連の対応を紹介するとともに、どの企業もこれらの情報共有に関して顧客からのインフォームドコンセント(十分な説明を受け、納得の上での同意)を得ていないと指摘した。両議員は「この書簡で明らかにした問題のある慣行は、おそらく氷山の一角にすぎない」とし、違法行為があった場合には責任を追及するようFTCに求めている。
べリスクは、2024年3月に「ニューヨーク・タイムズ」紙でデータ共有が報じられた後、メーカー3社との取引を停止している。今回の書簡に関し、GMのマロリー・ルシッチ広報担当は「スマートドライバー(注1)のプログラムは6月にサービスを廃止した。当社が消費者にこのプログラムへの加入を強要するために(議員の書簡で表現されている)『巧妙な設計手法』を使用したという主張を当社は断固否定する。加入時から製品寿命期間を通して、各消費者に選択肢が与えられていた」と主張。ホンダのクリス・マーティン広報担当も「消費者は明らかに加入の意思を示した上で登録された。ホンダは責任をもってデータ収集と使用を行っており、適用される全てのプライバシーに関する法を順守している」と述べている(オートモーティブニュース7月31日)。
自動車から取得された個人情報の開示については、カリフォルニア州プライバシー保護局が2023年7月、コネクテッドカー(注2)のデータプライバシー保護に関する慣行調査を行うと発表。また、6月にはテキサス州のケン・パクストン司法長官が、自動車メーカーがドライバーのデータ収集と販売を秘密裏に行っているとして調査を開始するなど、州レベルでの取り組みも始まったところだ。
(注1)走行距離や急ブレーキの回数などを定期的に報告することで、ドライバーが車両の摩耗を減らし、より安全な運転を奨励するプログラム。
(注2)情報通信技術(ICT)の端末機能を有する自動車のことで、車両の状態や周囲の道路状況などのさまざまなデータをセンサーで取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。
(大原典子)
(米国)
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