通関システムが一時的に停止、8月7日に運用再開
(ベトナム)
ホーチミン発
2024年08月15日
ベトナム税関総局は8月6日、通関システムのVNACCSとVCISシステム(Automatic Customs Clearance System and National Single Window Mechanism)の運用を技術的な問題により一時的に停止した。8日時点でほぼ通常どおりの運用に復旧したとされるが、一部地域ではシステムの動作が遅い状況が続いている。VNACCSとVCISは、日本の貿易手続き・通関システムのNACCS(注1)、CIS(注2)をベースに開発され、2014年4月に導入されたものだ。
税関総局はシステムの一時停止を受け、6日付でオフィシャルレター(3748/TCHQ-GSQL)を全国の省・市の税関支局に発出した。同レターには、通関システムの問題発生時の輸出・輸入申告の対応に関する手続きを記載しており、税関総局は税関職員に対し、通関手続きのプロセスが中断しないよう、24時間態勢の対応を指示した。
在ベトナム日系物流企業関係者によると、通関システムが停止していた期間は、システム上で通関申告ができないため、税関窓口に通関書類を持ち込み、作業を行う必要があった。また、税関総局がシステムの運用再開を発表した7日以降も、システムの反応が遅く、接続エラーが発生する状況にあったという。
同システムは2023年11月にも運用を数日間、一時的に停止する不具合が発生した。この際は、電子商取引(EC)による国際宅配便の通関申告件数が急増し、システムの高負荷が原因とされている。
現地報道によると、今回のシステム不具合の原因は明らかにされていないが、輸出入とも過去最高を更新した2022年(輸出3,713億416万ドル、輸入3,589億192万ドル)は、VNACCSとVCISが導入された2014年と比較すると、輸出入ともに約2.4倍に拡大した。また、通関申告件数も2014年以前は年間1,000万件未満だったが、2022年は前年比5.1%増の1,450万件、2023年は1,400万件以上と推計される。2024年1~6月は、前年同期比14.4%増の816万件と、近年の申告件数の増加に伴い、システムに高負荷がかかっている状況とみられる。なお、税関総局によると、2024年2月時点で、新しいシステム導入の検討準備を行っているが、現在も導入に関する方針などは明らかにされていない。
(注1)NACCS輸出入・港湾関連情報処理システム(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)は、輸出入申告や船・航空機の入出港手続きなどの行政手続きと、輸出入手続きに関連する民間業務を処理する官民共同利用の電子申請システム。
(注2)CIS通関情報総合判定システム(Customs Intelligence Database System)は、輸出入の通関実績や輸出入者情報を一元的に蓄積して、通関審査に活用する情報システム。
(新田和葉)
(ベトナム)
ビジネス短信 cd1920f3461400bb