EVスクールバス製造のライオン・エレクトリック、カナダと米国で従業員約300人の解雇を発表

(米国、カナダ)

シカゴ発

2024年08月02日

米国イリノイ州ジョリエットに工場を持つ、カナダの電動(EV)スクールバス製造のライオン・エレクトリック(本社:ケベック州)は7月31日、2024年第2四半期の決算で、カナダおよび米国全域で従業員を30%(約300人)削減すると発表した。両国におけるEVスクールバス補助金受給のタイミングの遅延によって納車数が大きく減少し、収益の急激な落ち込みを招いたとみられている。今回の人員削減は、2023年11月から4回目となる(シカゴ・トリビューン2024年7月31日)。同社は、ジョリエット工場での解雇数については明言していない。

同社はこれまでに、米国のインフラ投資雇用法(IIJA)に基づいた米国環境保護庁(EPA)助成プログラムである「クリーン・スクールバス・プログラム(2022年6月1日記事参照)」から、97台分のEVスクールバス生産と関連する充電インフラ設置のための助成金3,800万ドルを獲得している。また、2023年末までに608人、2028年末までに1,228人の正規雇用を創出した場合、イリノイ州からの税額控除など5,000万ドル相当の優遇措置を受けることになっている(クレインズ・シカゴ・ビジネス2024年2月8日)。

同社の創業者であるマーク・ベダード最高経営責任者(CEO)は「EV市場が現在直面している深刻な課題にもかかわらず、ライオン・エレクトリックはEPAプログラムの(2024年1月の)助成金ラウンドで大きな前進を実現できた」とし「電動化への移行は当初の予想よりも時間がかかっているが、輸送の電動化は今後も続くだろう」と述べた。今回の決算で同社が発表した事業合理化と収益目標の達成のためのアクションプランには、人員削減のほか、需要減に伴うEVトラック(注)生産数の調整、第三者へのEVバッテリーパック販売のための新製品の立ち上げ、ジョリエット工場の大部分とカナダ、米国の施設のサブリースなどが挙げられている。

(注)同社はEVスクールバスだけでなく、商用EVトラックも製造している。

(星野香織)

(米国、カナダ)

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