バイデン米政権、スクールバスのEV化に50億ドルの助成金
(米国)
ニューヨーク発
2022年06月01日
バイデン米国政権は5月20日、インフラ投資雇用法に基づく助成金として、スクールバスから排出される温室効果ガス(GHG)の削減に向けた助成プログラム「クリーン・スクールバス・プログラム」に対し、今後5年間(2022~2026会計年度)で50億ドルを支出すると発表した。米国では、公立学校に通う2,500万人以上の児童、生徒が約50万台のスクールバスを利用しており、その95%以上がディーゼルを燃料としている。バイデン政権は政権発足当初より、輸送部門からのGHG排出量削減の一環としてスクールバスの電動化を推し進めてきた。
今回発表された50億ドルのうち、本プログラムには2022年度に5億ドルが割り当てられる。助成金は、バッテリー式電気自動車(BEV)などの無排出車と、圧縮天然ガス(CNG)およびプロパンガスを燃料とする低排出車への買い替え費用として充てられ、燃料の種類や車両サイズに応じて、1台当たり1万5,000ドルから37万5,000ドルが付与される(添付資料表参照、注)。米国では毎年、約4万台のスクールバスの新車需要があり、今回の新たな助成金で、一定程度の割合で無排出、低排出車への移行が進むことが期待される。
助成金の応募資格があるのは、州および地方自治体、公立学校の学校区のほか、車両メーカーやディーラーなどで、2010年以前に製造されたディーゼル車が交換の対象となり、助成金受領後には旧車両を廃棄することが条件となっている。また2021年度、2022年度中に、少なくとも平均週3日運行していることなどの詳細も定められている。募集期間は2022年8月19日まで。10月に選考結果が発表された後、受給者は2024年10月までに車両の購入や廃棄などを行う。
スクールバスの電動化に関しては、既に複数の地方自治体で取り組みが始まっている。最近ではニューヨーク州で、2035年までに州内にある約5万台のスクールバスの全てを電動化する内容を含む本年度の予算が成立。また、マサチューセッツ州ボストン市でも2030年までに100%電動車両とすることを目指している。
(注)スクールバス関連の情報サイトによると、BEVの新車販売価格は約35万~40万ドル(スクール・トランスポーテーション・ニュース2022年1月7日)。
(大原典子)
(米国)
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