ミャンマーが非常事態宣言を再延長、延長は6回目
(ミャンマー)
調査部アジア大洋州課
2024年08月02日
ミャンマー国軍は7月31日、非常事態宣言を8月1日から6カ月延長すると発表した。国軍は2021年2月の権力掌握以降、非常事態宣言を既に5回延長していた。直近では、権力掌握から丸3年経った2024年2月1日、非常事態宣言が6カ月延長された(2024年2月5日記事参照)。今回、6回目の延長となる(注)。
今回の再延長は、非常事態宣言解除から6カ月以内に実施が定められている総選挙実施が、国軍と少数民族の武装組織や民主派武装組織との戦闘が2023年10月以降特に激しくなったことから、難しいと国軍が判断したためだ。
非常事態宣言は再延長されたが、国軍政府は総選挙実施に向けた国勢調査を2024年10月に実施すると発表している。国軍政府は2021年2月の非常事態宣言の発令に際し、民政復帰を目的とした今後の全国規模での総選挙実施についてのためと説明していた。しかし、現地報道によれば、最近は選挙実施が可能な地域から先行して実施することも検討している(「グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー」8月1日付)。ミャンマー進出日系企業にとっては、先行きの不透明感が解消しておらず、引き続き厳しい事業運営を強いられることになる。
非常事態宣言再延長前の7月22日、ミンアウンフライン国家統治評議会(SAC)議長(国軍総司令官)は、ミンスエ暫定大統領(当時)の病気療養によるとされる解任を理由に、自身が暫定大統領を兼務することを発表した。国軍は憲法に従い、暫定大統領のポストが空席となった場合はSAC議長が国の行政権を行使できるとしている。
(注)憲法では、非常事態宣言につき「通常、同期間を1回につき6カ月間2回まで延長することができる」と定めているが、2回目の延長期限が切れる2023年2月1日時点では、「憲法上の通常ではない状況」のため合法として再延長された。
(アジア大洋州課)
(ミャンマー)
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