ミャンマーが非常事態宣言を再延長、延長は5回目

(ミャンマー)

調査部アジア大洋州課

2024年02月05日

ミャンマー国軍は1月31日、非常事態宣言を2月1日から6カ月延長すると発表した。国軍は2021年2月の権力掌握以降、非常事態宣言を既に4回延長してきた。直近では、権力掌握から丸2年半経った2023年8月1日から非常事態宣言を6カ月延長した(2023年8月2日記事参照)。今回で5回目の延長となる(注)。

2024年中に国勢調査を実施し、総選挙の準備を行うとしているが、総選挙の実施時期の見通しが立たない状況にある。

国軍と少数民族の武装組織や民主派武装組織との戦闘は2023年10月以降特に激しくなっており、国境周辺の治安悪化に伴って中国やタイとの陸路越えの国境貿易に影響を及ぼしている。ミャンマー進出の日系企業は先行きの不透明感から、撤退や縮小を決定する事例も出ており、厳しい事業運営を強いられている。

(注)憲法は非常事態宣言について「通常、期間を1回につき6カ月間、2回まで延長することができる」と定めている。しかし、2回目の延長期限が切れる2023年2月1日時点では、憲法上の通常ではない状況のため合憲として、3回目の延長を行った。その後、2023年7月31日に、非常事態宣言の解除から6カ月以内に実施が定められている総選挙の実施が国内の治安情勢から難しいとの国軍の判断により、4回目の延長を決定した。

(アジア大洋州課)

(ミャンマー)

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