ジョコ大統領、内閣改造で3閣僚を交代、2つの政府機関を新設
(インドネシア)
ジャカルタ発
2024年08月28日
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は8月19日、エネルギー・鉱物資源省、投資省、法務・人権省の大臣(閣僚)3人を交代させるとともに、通信・情報副大臣を増員する内閣改造を行った(8月19日付内閣官房プレスリリース)。
バフリル・ラハダリア投資相をエネルギー・鉱物資源相に起用し、投資相の後任には、インドネシア商工会議所(KADIN)の元会頭で国営企業副大臣だったロサン・プルカサ・ルスラニ氏を就任させた。両氏はいずれも、2024年2月に実施された大統領選挙でプラボウォ陣営に参画していた。また、法務・人権相には、プラボウォ・スビアント次期大統領を党首とするグリンドラ党所属のスプラトマン・アンディ・アグタス国民議会議員を起用し、増員した通信・情報副大臣には、プラボウォ氏の側近とされるアンガ・ラカ・プラボウォ氏を起用した。
一方、解任されたアリフィン・タスリフ前エネルギー・鉱物資源相は、無所属だが闘争民主党に近いとされ、ヤソンナ・ラオリー前法務・人権相は闘争民主党に所属している。ジョコ大統領は2024年4月、大統領選挙で闘争民主党の対立候補であるプラボウォ・スビアント陣営を支援したことを理由に、同党の党員資格を停止された。
シャリフ・ヒダヤトゥラー・ジャカルタイスラム宗教国立大学のアディ・プレイトノ教授は「今回の内閣改造は、2024年の大統領選挙で敗北した闘争民主党の閣僚を解任し、ジョコ大統領およびプラボウォ氏に近い人物を登用することで円滑に権力の移行を進めることが狙いだと見受けられる」とした(「トリブン」8月19日)。
「大統領広報府」と「国家栄養庁」の2つの政府機関を新設
ジョコ大統領はさらに、8月15日に大統領令2024年第82号を公布・施行し、大統領の政策や優先プログラムに関する広報業務を担当する「大統領広報府」、大統領令2024年第83号
を公布・施行し、国民の栄養問題を統括する「国家栄養庁」をそれぞれ新設した。給食無償化などを通じた国民の栄養問題の解決は、プラボウォ次期政権の主要政策の1つだ。大統領広報府の長官には、大統領選挙でプラボウォ氏陣営のスポークスパーソンを務めたハサン・ナスビ氏、国家栄養庁の長官には、ボゴール農科大学のダダン・ヒンダヤナ教授をそれぞれ任命した(8月19日付内閣官房プレスリリース
)。
(八木沼洋文)
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