バイデン米政権、CHIPSプラス法で米半導体TIに最大16億ドルの助成発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年08月20日
米国商務省は8月16日、米国の半導体メーカーのテキサス・インスツルメンツ(TI)に対し、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づいて、最大16億ドルを助成することで、同社と予備的覚書(PMT)を締結したと発表した。
助成対象は同社のテキサス州とユタ州の半導体製造施設の新設プロジェクトで、同社の投資額は2030年までに180億ドル以上に及ぶ。商務省は同プロジェクトに最大16億ドルを助成するほか、約30億ドルを融資する。また、同社は財務省にCHIPSプラス法に基づく最大25%の税額控除を申請予定だ。具体的な施設の生産能力などは次のとおり。
- テキサス州シャーマン:回路幅間65~130ナノメートル(nm)の半導体を生産する300ミリメートル(mm)ウエハー製造施設2カ所を新設。生産能力は1日1億枚以上。
- ユタ州リーハイ:28~65nmの半導体を生産する300mmウエハー製造施設1カ所を新設。生産能力は1日数千万枚。
商務省のジーナ・レモンド長官は「現世代および成熟ノード半導体(注1)の不足はインフレを助長し、米国の安全性を低下させた。バイデン・ハリス政権が現世代および成熟ノード半導体製造の世界的リーダーのTIに投資することで、米国経済のあらゆる分野で使用されるこれら基盤的半導体のサプライチェーンを確保し、テキサス州とユタ州で数千の雇用を創出できる」と述べている。
2022年8月に成立したCHIPSプラス法は、国内半導体産業の振興を目的に、半導体製造施設の建設や拡張などを行う企業に対して、連邦政府が390億ドルの助成と25%の投資税額控除を行うことなどを規定している。CHIPSプラス法に基づく助成金拠出の発表は今回で17社目で(注2)、助成額の合計は約330億ドルに達する。
(注1)現世代および成熟ノード半導体は、自動車、産業機械、家電製品などに用いられる非最先端半導体を指す。
(注2)直近の16社目は8月6日に、韓国半導体大手のSKハイニックスのインディアナ州での半導体パッケージング製造・研究開発施設の建設に対して発表されていた(2024年8月13日記事参照)。
(葛西泰介)
(米国)
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