米財務省、制裁違反の時効延長に関するガイダンスを発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年07月24日
米国財務省外国資産管理局(OFAC)は7月22日、特定の制裁違反の時効延長に関するガイダンスを発表した。違反行為の時効が10年に延長されることにより、企業にとっては記録保管期間や企業買収時(M&A)のデューディリジェンス(DD)の範囲拡大が求められる。
ジョー・バイデン大統領は4月24日、「21世紀力による平和法」に署名した。同法の第3111条は、国際緊急経済権限法(IEEPA)または、対敵通商法(TWEA)の違反行為の時効を5年から10年に延長している。この新しい10年への延長は、同法制定時に時効になっていなかった違反にも適用される。今回発表されたガイダンスでは、OFACは2019年4月24日以降のIEEPAまたはTWEAに基づく制裁に対する民事違反について、違反日から10年以内に執行措置を開始できると示された。OFACは今後、書類などの記録保持要請を10 年に延長する暫定最終規則(IFR)を公示する。同IFRは、公示後6 カ月後に発効する予定だという。
米国の経済制裁関連法令の多く(注)や輸出管理法令はIEEPAに基づき発令された大統領令などによって法執行が行われているため、これら規制に対応するための企業のコンプライアンスも見直す必要がある。米国の通商政策に詳しいメイヤーブラウン法律事務所によれば、企業は、(1)IEEPAなどに基づく制裁や規制違反に対する内部調査期間の10年への拡大、(2)10年間に合わせた記録管理方針と手順の見直し、(3)後継者責任の観点からM&A時のDDの範囲拡大、が重要だと説明している。
(注)キューバ制裁関連法令は、TWEAが根拠法となっている。
(赤平大寿)
(米国)
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