BYD、トルコに約10億ドル投じて新工場設立へ

(トルコ、中国)

イスタンブール発

2024年07月16日

中国の新エネルギー車(NEV)大手の比亜迪(BYD)はトルコに約10億ドルを投資し、年産15万台の電気自動車(EV)と充電式のハイブリッド車(HEV)の生産工場、モビリティー技術開発センターを設立すると発表した。

トルコのメフメット・ファーティヒ・カジュル産業科学相は7月8日、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領も参加の下、トルコを訪問したBYDの王伝福董事長兼総裁とトルコへの投資に関する合意書に署名した。合意によると、BYDは2026年末の生産開始を目指し、最大5,000人を雇用する予定という。

BYDは、トルコでの生産によって「トルコが有するテクノロジーエコシステムの発展、強力なサプライヤー基盤、優れた立地、有能な労働力などの優位性を活用し、同社のブランド生産能力を強化し、物流の効率を向上させ、欧州の消費者に届けることを目指す」とし、7月5日に暫定的に中国からのEVに追加関税を実施した(2024年7月8日記事参照)欧州向けの生産拠点とするとした。

トルコ政府は2023年に急増したEVを中心とした中国ブランドの急増を警戒し、輸入EVのメンテナンスとサービスに関する規制導入(2023年12月4日記事参照)や、中国からの輸入自動車に40%の追加関税を課す(2024年6月11日記事参照)などの対策を相次いで講じている。しかし同時に、トルコに生産投資を誘致するため、中国製自動車に対する追加関税に関する大統領令に「投資奨励証明書による関税免除の恩恵を受けた(中国製自動車の)輸入については、追加関税は適用されない」との条件を追加(7月5日付官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))し、トルコへの投資によって同措置が免除されるとした。

また、中国の鑫源集团(Shineray Group)傘下のイタリアブランドのSWMも、トルコでの製造申請を行っており、広州汽車集団(GAC MOTOR)も、トルコ国産EVメーカーTOGG社と共同生産を検討しているとの報道もあるなど、中国自動車メーカーのトルコへの関心が高まっている。

(中島敏博)

(トルコ、中国)

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