特許庁とジェトロが「インド司法制度・知財訴訟セミナー」開催
(インド、日本)
ニューデリー発
2024年07月10日
特許庁とジェトロは6月25日に東京、26日に大阪で、「インド司法制度・知財訴訟セミナー」を開催した。両会場合計で約200人が参加した。
セミナーでは、アナンド&アナンド法律事務所所長のプラビン・アナンド氏が「インド司法制度の概要と知的財産訴訟」と題して、インドの司法制度や知財訴訟について概況を説明した。その中で、昨今のインド裁判所のユニークな取り組みとして「e-court」を挙げ、紙媒体の書類を大幅に削減、テレビ会議によって遠隔地からの参加も可能にすることで、裁判の効率化・迅速化を進めていることを紹介した。また、インドでは、迅速な提訴の決断が最良の結果を得るために重要という点を強調した。
デリー高等裁判所首席判事(長官代行:Acting Chief Justice)のマンモハン氏は「最近の代表的な知財判例と今後の知財訴訟の行方」と題して、近年注目される判例である、標準必須特許(SEP)におけるSEP所有者を救済する命令に関する判例や、知財訴訟で高額の損害賠償命令が出された判例、海賊版サイトを機動的に閉鎖させる動的差止命令に関する判例の具体的な内容とその意義について解説した。また、市民の司法へのアクセスを向上させるべく、最高裁判所で文書要約や判例分析、文字起こしなどに生成人工知能(AI)が活用されている現状を紹介した。
デリー高裁のマンモハン首席判事(中央)らが登壇したセミナー(大阪会場で、ジェトロ撮影)
参加者からは、「インドの知財、特に裁判制度や判例などの最新情報を知ることができた」「通信技術のSEPに関する特許訴訟の現状について知ることができた。また、プログラム関連発明の特許の成立要件の説明は興味深く、参考になった」「デジタルコンテンツに関する国境を越えた訴訟状況が参考になった」「司法当局が以前に比べ、スピーディーに動くようになっていることを知ることができた」といった声が寄せられた。
(渡部博樹、上原広夢)
(インド、日本)
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