気候変動対策に取り組む南フロリダ気候対応テックハブ、米商務省の助成金獲得
(米国)
アトランタ発
2024年07月05日
米国のバイデン政権が7月2日に発表した、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく助成金を提供する国内12カ所のテックハブ(2024年7月3日記事参照)の1つに、フロリダ州の「南フロリダ気候対応テックハブ(South Florida ClimateReady Tech Hub)」が選定され、1,950万ドルの助成が決まった。
同テックハブは、同州マイアミデイド郡が主導し、フロリダ国際大学(FIU)や3Dプリンターを使って防潮堤などを製造するスタートアップのワンプリント(1Print)など31の組織がコンソーシアムに参画するほか、マイアミビーチ市や著名アクセラレーターのテックスターズなど28の組織がパートナーとして名を連ねている。湿度の高い環境に対応した次世代エネルギー・マネジメント・システムの活用などによる建物のエネルギー効率の向上や、先進的なセメントを活用したインフラ、沿岸部のグリーン・グレーインフラ(注)など、主に3つの分野に関する製品の技術開発に取り組んでおり、コミュニティーレベルのニーズを満たす拡張可能な気候変動対策技術の開発と展開を目指している。
今回の助成金のうち、FIUは1,000万ドルを受け取り、超高性能コンクリート技術をはじめとしたセメント技術の開発を加速させ、コンクリートの耐久性向上や、製造過程での二酸化炭素(CO2)排出量削減、あるいはCO2吸収スポンジへの転換を目指す。また、多様なグループに対し、資格取得、研修、実習を通じて、キャリアパスを提供する労働力開発プログラムの確立にも取り組む予定だ。
マイアミデイド郡のダニエラ・レビン・カバ郡長は「南フロリダがテックハブに指定されたことは、気候問題解決でわれわれの世界的リーダーシップを強調するものだ」と述べた。過去5年間に米国で生み出された気候変動に関連する特許権の2%が南フロリダ地域発のもので、FIUに立地する国立ハリケーンセンターを含む米国海洋大気庁とのパートナーシップなど、同地域は気候変動対策に関する技術開発で優位性を持っている(「ビジネス・ジャーナル」9月17日)。海面上昇など気候変動の影響にさらされるこの地域での産学官連携の今後に注目が集まっている。
(注)社会資本整備や土地利用などのハード・ソフト両面で、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある都市・地域づくりを進めるグリーンインフラと、人工構造物を指すグレーインフラのそれぞれの特性を踏まえて、組み合わせて活用するもの。
(檀野浩規)
(米国)
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