山東省、青島港で中国初の全面的な水素エネルギー利用港が着工
(中国)
青島発
2024年07月04日
中国国有資産監督管理委員会は6月12日、中国初の全面的な水素エネルギー利用港(注)の着工式が山東省青島市で行われたと発表した。また、山東省港口集団(山東湾口)はこの着工式で、青島港での全面的な水素エネルギー利用港の建設プランを発表した(「中国新聞網」6月12日)。
山東港口は青島港を中心に、水素供給システム、効率的な水素充填(じゅうてん)システム、水素を安全に利用するための制御システムの3つを構築する。また、水素エネルギー産業サプライチェーンの統合モデルや、あらゆる場面での水素活用モデルなども提示する。このほかにも、水素エネルギーの産学官連携・イノベーション、貿易、公共サービスの3分野でプラットフォームを構築する。
山東港口は過去5年間、グリーン・低炭素化を積極的に推進しており、次の4つの成果を出した。
- 中国初の港湾でのクリーンエネルギー供給システムを構築し、1日当たりの水素エネルギー充填能力は1,000キログラム以上、累計充填量は80トンを超え、1,000トン以上の二酸化炭素(CO2)排出量を削減した。
- 中国初の港湾専用の燃料電池自動車(FCV)の大規模な運行を実現。水素燃料電池コンテナ専用トラックを研究開発し、ゼロエミッション、低騒音、充填の高速化などを実現した。
- 世界初の水素・電気結合型マイクログリッドのカントリークレーンを建設。低出力の燃料電池と重荷重カントリークレーンの統合を実現し、再生可能エネルギーの利用率を向上させた。
- 世界初の7,000馬力(PS)となる超高出力の水素・電力ハイブリッド型タグボートを研究開発し、年間1,400トン以上の炭素排出量の削減を達成。
中国港湾協会の陳英明常務副会長は着工式で、青島港での全面的な水素エネルギー利用港の建設は港湾運営の質を大幅に向上させ、CO2を効果的に削減し、「カーボンピーク」「カーボンニュートラル」の実現を加速させるとした。また、水素の製造や充填、利用、取引といった産業エコシステムを構築し、港湾で水素エネルギーを利用した貿易の発展を促進すると述べた。
(注)従来使われていた化石燃料の代わりに、全ての場面で水素エネルギーを活用し、二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにすることを目的とする。
(董玥涵)
(中国)
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