米商務省、中国やUAEなどの6事業体を輸出管理対象に追加
(米国、中国、アラブ首長国連邦、南アフリカ共和国、英国、ロシア)
ニューヨーク発
2024年07月04日
米国商務省産業安全保障局(BIS)は7月2日、中国、アラブ首長国連邦(UAE)、英国、南アフリカ共和国に拠点を置く外国事業体6社を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティー・リスト(EL)に追加したと発表した。翌3日付の官報
で公示し、同日付で有効となった。
ELは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、BISの事前許可が必要となる(ただし、許可申請をしても、多くの場合、原則不許可の審査方針が取られる)。
BISが今回追加した6社の拠点は、中国とUAEがそれぞれ2社、英国と南アがそれぞれ1社。BISはEL追加の理由として、中国、英国、南アに拠点を置く4社は中国軍の活動を支援したこと、UAEに拠点を置く2社は最終用途(エンドユース)に関して、当局に虚偽情報を繰り返し提出したことを挙げている。
また、米国司法省は2日、米国カンザス州の企業幹部1人が2020~2023年にラトビア国籍の個人ら2人と共謀し、米国製の航空電子機器をロシアに輸出するために、最終使用者(エンドユーザー)に関して、当局に虚偽情報を提出したことなどを認めたと発表した。司法省国家安全保障部のマシュー・オルセン次官補は「司法省は、米国の重要技術を保護し、ウクライナへのロシアの侵略を抑止する輸出管理の有効性を損なおうとする者を容認しない」と述べた。
なお、EARの一般禁止事項5〔連邦規則集第15編736.2(b)(5)条〕は、特定のエンドユース・エンドユーザーに輸出などを行うことを禁止しており、それを知りながら、EAR適用対象品目を輸出などする場合にはBISの事前許可が必要となる(注)。
(注)EAR適用対象品目の判定フローについては、ジェトロの調査レポート「米国の経済安全保障に関する措置への実務的対応」も参照。なお、BISはEAR違反・罰則事例集を公表している(2024年7月3日記事参照)。
(葛西泰介)
(米国、中国、アラブ首長国連邦、南アフリカ共和国、英国、ロシア)
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