タイ中銀の5月経済金融報告、観光業と政府支出が牽引する経済回復に言及

(タイ)

バンコク発

2024年07月08日

タイ中央銀行(BOT)は6月28日、5月の「月例経済金融報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同報告によれば、5月のタイ経済は堅調な観光業と予算成立を受けて拡大した政府支出が牽引し、回復基調を維持した。他方で、民間消費は微増にとどまり、財輸出や製造業の生産活動、民間投資は鈍化した。

工業生産指数は、前年同月比1.5%減、前月比(注)でも0.6%減少した。特に、(1)製油所の一時的な操業停止(メンテナンスによる)で石油製品の生産が減少したこと、(2)商用車を中心に自動車の生産が減少したこと、(3)輸出減少の影響を受け電化製品の生産が減少したことなどが影響した。一方で、パーム油や家畜生産が増加したことで、食品・飲料などの分野では前月比で増加がみられた。

また、需要面については、民間消費指数が前年同月比1.2%増、前月比0.3%増となったと報告した。観光業などのサービス支出が前年比と前月比ともにプラスとなる一方、自動車を含む耐久財は前年比9.8%減と低調、前月比も0.0%と横ばいだった。民間投資は前年比、前月比ともに3.0%減とマイナスだった。

財輸出(金を除く)は前年同月比6.5%増となるも、前月比では1.7%減と鈍化した。特に、(1)オーストラリア向け商用車の輸出減少、(2)欧米向け太陽電池やエアコンの輸出減少、(3)ASEAN向け砂糖の輸出増加後の反動減、などが影響した。他方、ドリアンを中心とする農産物や中国向け化学品・化学製品など、前月から増加した輸出品目もみられた。

5月の外国人観光客数は263万3,500人となり、前月比9.2%増だった。ビザの免除や陸上入国審査での書類免除などのいくつかの支援措置もあり、特にマレーシアや中国などの近隣国からの観光客が増加した。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

ビジネス短信 5d72bcb9b4d3c27e