バイデン米政権、2035年までに政府業務で使い捨てプラ使用廃止を発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年07月23日
米国の「プラスチック汚染と循環経済に関する省庁間政策委員会(IPC)」は7月19日、連邦政府機関のプラスチック汚染対策に関する報告書を発表した。IPCはプラスチック汚染対策を目的に2023年4月に設立された委員会。ホワイトハウスの環境諮問委員会(CEQ)と気候政策局(CPO)が共同議長を務め、商務省、運輸省、エネルギー省などの省庁が参加する。
報告書では、世界のプラスチック年間生産量は過去20年で2倍以上に増加し、プラスチック廃棄物による海洋汚染や、プラスチック生産・加工などに排出される化学物質による大気汚染など、サプライチェーン全体で環境や公衆衛生に深刻な影響を及ぼしていると指摘した。「プラスチック汚染は米国のみならず、世界中で最も差し迫った重大な環境問題の1つだ」と懸念を示し、国際社会に対しても、バージンプラスチック(注)の生産と消費の削減に向けて協調した行動を呼びかけた。
また、連邦政府による生産から廃棄までのライフサイクル全体を通じたプラスチック汚染の影響に対処する包括的なアプローチや、プラスチック汚染の範囲・規模・複雑さゆえにあらゆるレベルの政府機関による協調した行動が必要だとし、「連邦政府は初めて、プラスチック汚染の危機の深刻さと、効果的な対処が求められる行動規模の大きさを公式に認識する」と強調した。具体的には、プラスチックのライフサイクルを(1)生産時の汚染削減と評価、(2)素材と製品設計のイノベーション、(3)廃棄物の削減、(4)廃棄物の管理改善、(5)汚染の除去回収の5段階に分け、各段階で連邦政府の取り組み方針を概説した。例えば(1)では、プラスチックの生産手法・原材料・化学物質に関する規制策定や見直し、環境や人体に与えるリスク評価に向けたデータ収集の必要性などを挙げている。
また、ホワイトハウスは同日、連邦政府のプラスチック汚染対策に関するファクトシートを発表した。ファクトシートでは、上述のIPC報告書の発表に触れたほか、2021年12月の「連邦政府の持続可能性を通じたクリーンエネルギー産業と雇用の促進に関する大統領令(E.O.14057号)」に基づき、2027年までに連邦政府機関のフードサービス、イベント、包装資材の調達で使い捨てプラスチックの使用を段階的に廃止し、2035年までに連邦政府の全ての業務で使い捨てプラスチックの使用を廃止するとの目標を新たに発表した。
(注)再生原料を用いずに生産したプラスチック。
(葛西泰介)
(米国)
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