EV関連民間投資は累計2,500億ドル超、米エネルギー省調査
(米国)
ニューヨーク発
2024年07月19日
米国エネルギー省(DOE)が7月15日に発表した調査結果によると、電気自動車(EV)とバッテリーなどに対する民間投資額がこの3年間で4.5倍に増加し、2024年2月時点で累計2,500億ドル以上に達した(添付資料図参照)。
今回発表された調査は、DOE傘下のアルゴンヌ国立研究所(本部:イリノイ州)が新規や既存の製造拠点の投資案件(公表ベース)を分析したもの。DOEは、2021年1月のバイデン政権発足後に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)やインフレ削減法(IRA)を含むEV普及政策の成果だと評価している。また、これまで政府が発表したEV普及のためのプログラムのうち、DOEの管轄下にある予算だけでも1,259億ドル分(注1)の割り当てが終わっていないことから、今後のEV・バッテリー関連事業がより拡大する余地があると見込んでいる(添付資料表参照)。
2024年2月時点の投資額を製品別にみると、バッテリー生産が全体の7割以上を占める1,920億ドル、EV車両組み立てが約2割の573億ドルとなった。バイデン政権発足前の2020年12月比では、それぞれ5.6倍、2.7倍と大幅に増加した。バッテリーの中でもセルの生産に対する投資額が大きく、全体の約5割を占める1,224億ドルとなり、2020年12月比では、7.9倍と大幅に伸びた。また、バッテリーの材料となる鉱物やカソード活物質も増加傾向にあり、それぞれ2.2倍の295億ドル、64.7倍の146億ドルだった。充電器への投資額も伸びてはいるものの、全体に占める割合は0.2%で、投資額は5億ドルにとどまった。
また、米国でのバッテリー需要は、EVでの利用拡大などに伴い(注2)、2023年に100ギガワット時(GWh)だったが、2030年に約10倍の1,080GWh、2034年には16倍の1,590GWhに増加するとの見通しを立てている。需要の伸びと今後の投資拡大に伴い、EV用バッテリーの大半を占めるリチウムイオンバッテリーの生産能力は、2018年に約35GWhだったが、2032年までに1,140GWhに増加すると試算した。
(注1)インフレ削減法45Xは除く。
(注2)DOEは、運輸部門がバッテリー需要の約92%を占めるとみている。
(大原典子)
(米国)
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