香港の競争力強化へ「パテントボックス」税制優遇措置を開始
(香港)
香港発
2024年07月16日
香港特別行政区政府は7月5日、「2024年税務(改正)(知的財産所得に対する税制優遇措置条例)」(修正条例、注1)を公布、即日施行した。これにより、香港に源泉があり、研究開発(R&D)活動を通じて創出された適格な知的財産(「対象IP」)に由来する適格な利益に対して税制優遇を提供する「パテントボックス」(注2)税制優遇措置が同日から施行となった。
香港政府の李家超(ジョン・リー)行政長官は2023年10月25日の施政報告(施政方針演説)で「地域の知的財産権取引センター」(Regional Intellectual Property Trading Centre)への発展に向けた具体的な取り組みの1つとして、同税制優遇措置の実施を挙げていた(2023年11月1日記事参照)。
政府の発表によると、修正条例の主な特徴として次の5つを挙げている。
- 対象IPは特許、ソフトウエア著作権、植物新品種権。
- 香港域外で登録された対象IPも対象になるほか、香港で発生した関連利益について、同措置の恩恵を享受可能。
- 優遇税率は5%(通常税率は16.5%)。
- 対象IPは納税者自身が開発したものであること。R&D過程で他のIPの取得やR&D活動の一部をアウトソーシングする場合、優遇税率の対象となる利益額は比例的に減少する可能性あり。
- 同措置を享受するために、企業は発明または新品種の現地登録を取得する必要あり。この要件は同措置の施行後2年経過してから実施。
同改正条例の施行に伴い、納税者は2023/2024年会計年度から同措置を申請することが可能となる。香港の税務局によると、納税者が参照できるよう、同局ウェブサイトでさらなる行政ガイダンスがなされる予定だ。
(注1)詳細はCap.112を参照。
(注2)特に特許権など、特定の種類の適格な知的財産から生じた所得に対する法人税の軽減を認める租税誘因措置のこと。
(島田英昭)
(香港)
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