2024年のクリーンエネルギーの投資額は化石燃料の2倍近く、IEA予測
(世界)
調査部国際経済課
2024年06月07日
国際エネルギー機関(IEA)は6月6日、「世界エネルギー投資報告」(2024年版)を発表した。2024年の世界のエネルギー投資(予測値)は前年比4.9%増の3兆1,200億ドルと、初めて3兆ドルを突破し、過去最高額を更新する見通し。うち、電力分野への投資は5.6%増の1兆3,820億ドルと予測した。
2024年のクリーンエネルギー(注)への投資は6.4%増の2兆40億ドルと、世界的な金融引き締めなど厳しい環境下にもかかわらず増加し、化石燃料への投資(1兆480億ドル、4.7%増)の2倍近くに達する見通し。投資の受け入れ地域別にみると、中国を除く新興・途上国向けは、インドやブラジルが牽引し、前年比11.1%増の3,190億ドルと初めて3,000億ドルを突破する。中国は8.0%増の6,760億ドル、先進国は4.2%増の9,730億ドルを見込む。
IEAのファティ・ビロル事務局長は、クリーンエネルギーへの投資の増加について、サプライチェーンの改善とクリーンエネルギー技術のコスト低下が投資の伸びを後押しすることに加え、「主要国による、クリーンエネルギーのサプライチェーンにおける優位性を競う産業政策の要因も大きい」と指摘した。
電力(発電)分野への投資を項目別にみると、石炭発電が前年比35.4%減(210億ドル)、石油・天然ガス発電が4.0%減(570億ドル)と化石燃料由来の発電への投資が減少する。対して、再生可能エネルギーは4.9%増の7,710億ドルとなる。再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電への投資が5,000億ドルを超え、電力分野の投資を牽引する役割を担うという。2024年は太陽光パネルモジュールの価格低下により、伸び率は緩やかになるものの、価格低下が新たな投資を呼び込むと見込まれている。
(注)再生可能エネルギー、送電網(グリッド)と蓄電、エネルギー効率化、その他電力消費、低炭素燃料と二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)、電気自動車(EV)で構成する。
(田中麻理)
(世界)
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