中国製BEV追加関税についてEUと協議開始を決定
(中国、EU)
北京発
2024年06月28日
中国の商務部は6月22日、王文涛部長(大臣)と欧州委員会のバルディス・ドムブロフスキス執行副委員長(経済総括、通商担当)がビデオ会談を行い、EUの中国製バッテリー式電気自動車(BEV)に対する反補助金調査についての協議開始を決定したと発表した。
EUは、2023年10月に反補助金調査を開始(2023年10月6日記事参照)、2024年6月12日には暫定的な調査結果を踏まえて、中国製BEVに課す暫定的な相殺関税措置を関係者に事前開示したとして内容を公表している(2024年6月14日記事参照)。
同日に王部長は、ドイツのロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護相と会談を行い、反補助金調査に対する懸念を表明した。王部長は、加盟国や産業界からの申請がない状態でEUは反補助金調査を行っており、調査過程に存在する不当なやり方はWTOルールに違反すると主張した。
また、暫定的な調査結果は、異常に高い関税により中国企業の発展を押さえつけようとするもので、典型的な保護主義的措置であり、中国は既に強烈な不満と断固とした反対を表明したとした。
王部長は、EUが独断専行するならば、中国はWTO提訴も含めた必要な対応を取るとした。同時に、EUが誠意をもって協議のテーブルに着くのであれば、対話と協議を通じて双方の合理的な懸念に照らし、理性的・専門的な方法で貿易摩擦の拡大とエスカレーションを回避することに同意するとした。その上で、ドイツが積極的な効果を発揮し、EUと中国の歩み寄りを推進することを望むとした。
商務部によれば、ハーベック副首相は、反補助金調査が欧州のグリーントランスフォーメーションや消費者の利益に悪い影響を与え、在中国ドイツ企業が損害を受けることを憂慮しているとした。また、追加関税は最も悪手であり、対話と協議だけが問題解決の道であるとした。その上で、ドイツは中国の提案を欧州委員会にも伝えるとし、中国・EUの双方が建設的な態度で、協議を通じて実現可能な解決の道を見つけることを期待するとした。
中国社会科学院欧州研究所欧州経済研究室の孫彦紅主任は、EUは中国製BEVに競争力があり、現地企業と市場に打撃を与えると考えているため、どのように健全な競争と協力を行うか、協議の難易度は高いとした(「環球時報」6月24日)。
(河野円洋)
(中国、EU)
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