米国の太陽光パネル関税免税の措置終了、カンボジアの輸出に影響
(カンボジア、米国)
プノンペン発
2024年06月11日
米国のバイデン政権はカンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムの4カ国からの太陽光パネル輸入に対する24カ月間の関税免除措置を予定どおり6月6日に終了した(2024年5月17日記事参照)。また、米国商務省は2023年8月18日に同4カ国を太陽光発電関連製品の中国からの迂回輸出(注1)が行われている国に認定しており、免税措置終了後は中国からの迂回輸出ではないことを証明した企業を除いて、アンチダンピング税(AD、注2)、補助金相殺関税(CVD、注3)の課税対象とするべく、調査を進めてきた。
米商務省はカンボジアを迂回する製品へのAD上限率となるダンピングマージン(DM、注4)を125.37%と発表しており、ADは2025年2月6日から、CVDは2024年11月22日から適用する予定だ。
カンボジア開発評議会(CDC)によると、カンボジアへの太陽光パネル関連の投資は、投資適格案件(QIP)ベースで、2021年から2023年までの3年間で合計10件あった。
米商務省国際貿易局(ITA)が発表したカンボジアから米国への太陽光パネルの輸出額は、2021年が2億1,823万ドルだったの対し、2022年は7億6,019万ドルに伸び、2023年は23億1,322万ドルと右肩上がりに増えている。2023年にはカンボジアから米国への輸出品目で最大品目だった旅行用かばんを抜き、首位(シェア20.4%)となった(注5)。
一方、2024年第1四半期(1~3月)の太陽光パネルの輸出額は、前年同期比22.9%減少した。2024年初めからカンボジアでの生産量を減らす動きが起きているようだ。
(注1)中国の太陽光発電製品に対しては、2012年からAD、CVDが課されている。
(注2)アンチダンピング税(AD)とは、輸出国の国内価格よりも低い価格による輸出が輸入国の国内産業に被害を与えている場合に、その価格差を相殺するために賦課できる措置。
(注3)補助金相殺関税(CVD)とは、政府補助金を受けて生産などされた品目の輸出が輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、当該補助金の効果を相殺する目的で賦課する措置。
(注4)ダンピングマージン(DM)とは、輸入された製品の価格と国内市場の価格の差を示す指標。カンボジアのDMは、2024年5月14日に米国商務省が発表。
(注5)HSコード6桁の品目で比較。
(ニティー・ヘン)
(カンボジア、米国)
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