英シェルのシンガポール子会社など9社、安全保障上の重要企業に指定

(シンガポール)

シンガポール発

2024年06月11日

シンガポール政府はこのほど、英国の大手石油会社シェルのシンガポール子会社など9社を「重要投資審査法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づく安全保障上の重要企業に指定した。5月31日付の官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で明らかにした。

重要投資審査法は、国家安全保障上重要と認定した「指定事業体」の支配権に変更が生じる際、貿易産業省(MTI)への報告または事前承認を義務付けるもの。同法は2024年3月に施行された(2023年11月9日記事参照)。同法に基づいてMTI内に重要投資審査事務局(OSIR)が発足した。同事務局が5月31日付で指定事業体として指定した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのは、(1)オーストラリアのトール・グループ傘下の物流会社STロジスティクス、(2)地場エネルギー・工業団地開発会社セムコープ・インダストリーズ傘下の建設設計会社セムコープ・スペシャライズド・コンストラクション、(3)地場大手総合エンジニアリング会社シンガポール・テクノロジーズ(ST)傘下の造船会社STエンジニアリング・マリーン、(4)ST傘下の自動車関連会社STエンジニアリング・ランド・システムズ、(5)ST傘下の空港運営会社STエンジニアリング・ディフェンス・アビエーション・サービス、(6)ST傘下のシステム会社STエンジニアリング・デジタル・システムズ、(7)米国の大手石油会社エクソンモービル傘下のエクソンモービル・アジア・パシフィック、(8)英国の大手石油会社シェル傘下のシェル・シンガポール、(9)米国の大手石油会社シェブロン傘下のシェブロン・シンガポールとシンガポール・ペトロリウム・カンパニーの合弁石油精製会社シンガポール・リファイニング・カンパニー(SRC)の9社だ。

今後、指定事業体の同9社に5%出資した際には、出資後7日以内に貿易産業相への報告が義務付けられる。また、同9社の株式を12%、25%、または50%取得する際には同大臣の事前承認が必要となる(注)。

シェルは2024年5月8日、シェル・シンガポールをインドネシアの石油化学会社チャンドラ・アスリ・キャピタルとスイスの資源会社グレンコア・アジアン・ホールディングスの合弁会社CAPGCに売却すると発表していた。売却は2024年末までに完了するとしており、同法の対象となる見通しだ(5月8日同社メディアリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注)指定事業体側も、持ち株の変更や事業の一部売却の際には、変更を認知後7日以内に貿易産業相に報告が義務付けられる。投資家と指定事業体双方の義務の詳細はOSIRのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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