世界最大の水素関連イベント「World Hydrogen 2024」、日本企業の技術力が注目集める

(オランダ、日本)

アムステルダム発

2024年05月24日

世界最大級の水素関連展示会「World Hydrogen 2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が51315日、オランダ・ロッテルダムで開催され、500社以上が出展した。世界各国から例年15,000人以上が来場する。

ジェトロが設置したジャパンパビリオンには14の企業・団体(注1)が参加、水素サプライチェーンを「つくる」「はこぶ」「つかう」の観点から、各社の製品・サービス・技術を紹介した。出展企業からは、「World Hydrogenには意思決定に関わる経営層が数多く参加しており、ビジネスにつながりやすい」「出展企業が洗練されており、ビジネスパートナー探しに効果的」とのコメントがあった。来場者からは、「日本企業の高い技術力を高く評価しており、信頼できるパートナーとしてビジネスを検討したい」「日本には、サプライチェーンの上流から下流に至るまで、高品質の製品・サービスを提供する企業がそろっており、魅力的」といった声が上がった。

写真 ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

展示会初日には、ジェトロがモデレーターを務めたプレゼンテーション「日本の水素戦略と技術の概要」を実施。在日オランダ大使館のエリック・ファン・コーイ・イノベーション・科学技術部参事官は冒頭のあいさつで、オランダと日本は水素のフロントランナーで、両国とも今後の水素の大量輸入に向けて多くのプロジェクトが進行中と紹介。続けて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が日本の水素関連政策や技術動向などを説明した後、日系企業9社(注2)がピッチを行った。

写真 プレゼンテーションの1つ(ジェトロ撮影)

プレゼンテーションの1つ(ジェトロ撮影)

同展示会では、世界各国の政府や企業の要人、専門家などを集めたサミットも開催。日本から経済産業省の保坂伸経済産業審議官が基調講演に登壇し、日本の気候変動政策や、補助金制度、水素サプライチェーンの発展状況などを紹介した。

写真 保坂経済産業審議官による基調講演(ジェトロ)

保坂経済産業審議官による基調講演(ジェトロ)

会期2日目の14日、ジャパンパビリオン内で横河電機の現地法人Yokogawa Europe Solutionsと、子会社のKBC Process Technology(以下、横河)、Port of Rotterdam(ロッテルダム港湾局)、DISTRO energyとの間で、ロッテルダム港での産業間連携によるエネルギーや資源の有効利用の概念実証に向けた協業意向の合意に関する調印式を行った。両社は2023年9月にこの件の実現可能性調査の実施を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。今回、横河のシミュレーション技術を用い、港湾での産業分野の脱炭素化に取り組むための正式な概念実証に向けた合意がなされ、World Hydrogen Summitの場での調印に至った。

(注1)IHI、旭化成、AGC、ENEOS、川崎重工業、千代田化工建設、デンソー、トヨタ自動車、福井製作所、三菱商事、横河電機、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本貿易保険(NEXI)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)

(注2)AGC、旭化成、デンソー、千代田化工建設、ENEOS、川崎重工業、福井製作所、トヨタ自動車、横河電機

(奈良陽一、望月竜之介、角岸右京)

(オランダ、日本)

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