水関連設備の公共支出、サブサハラ・アフリカで52億ドル、MENAで129億ドル

(中東、アフリカ)

調査部中東アフリカ課

2024年05月24日

世界銀行は5月6日、安全な水資源確保のための資金などに関する新たな報告書「水確保の未来への資金提供:公共支出の評価外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。それによると、世界の約4人に1人となる22億人が安全に管理された水道サービスを利用できていない。

サブサハラ・アフリカの水関連設備への公共支出は52億ドルで、同地域のGDPの0.3%にすぎない。同地域で安全な水道サービス普及には、これまでの約17倍の支出が必要とした。中東・北アフリカ(MENA)地域では129億ドルで、同地域のGDPの0.6%だった。

開発途上国全体の年間の水関連設備の公共支出は1,646億ドルで、開発途上国のGDPの約0.5%だった。水関連設備の支出のうち、政府が85.5%、国営・公的企業が5.9%と、90%以上が公共支出だった。公共支出に次いで多いのはODA(政府開発援助)で6.9%、民間企業の割合は1.7%だった。報告書では、民間資金の活用が今後重要になると指摘する。また、開発途上国全体の2011年から2019年までのODAによる水関連支出のうち、サブサハラ・アフリカが25%向けだった。

報告書によると、水道部門に割り当てられた予算のうち、開発途上国全体で約28%は執行されていない。さらに、水道サービス事業者の非効率性も課題で、年間の水道サービス運営コストの約16%が非効率による損失と推計する。また、公平性の観点では、サブサハラ・アフリカで水設備・サービスが都市部や富裕層向けに特に偏っているという。

中東・アフリカでは、水関連のイベントも実施されている。サウジアラビアでは水フォーラムが開催され(2024年5月13日記事参照)、イラクでも国際水会議が開催された(2023年5月16日記事参照)。エジプトでは民間企業も参加する水処理技術展を開催(2024年5月7日記事参照)したほか、モロッコでは水不足を受けて、インフラ整備を進める動きがある(2024年2月6日記事参照)。

(井澤壌士)

(中東、アフリカ)

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