英鉱業大手、ポートフォリオの合理化発表、一部は分割・売却へ

(英国、オーストラリア)

ロンドン発

2024年05月27日

英国の鉱業大手アングロ・アメリカンは5月14日、事業の最適化を目指し、ポートフォリオを合理化する計画を発表した。同社は今回の合理化によるコストの削減額を約17億ドルと推計している。

同社は、ポートフォリオをエネルギー移行や食料安全保障の強化に資する製品にするとし、事業を銅、高品位鉄鉱石、肥料用鉱物の3つの分野に絞り込むとした。銅生産については、ポートフォリオのうち54%とするとしている。南米での銅生産に強みを有しており、年間100万トンの生産を目指す。鉄鉱石については、鉄鋼業の脱炭素化に資する高品位品に特化するとした。肥料用鉱物については、開発中のイングランド北東部のウッドスミス鉱山について2025年中に重要な技術試験を完了させるとした一方で、開発を遅らせる意向を示した。これにより、2025年の資本支出は2億ドルまで削減し、2026年はゼロとするとした。

同社は合理化の一環として、一部の事業の売却や分割の意向も示した。製鉄用石炭事業からは投資を引き揚げて売却、ニッケル事業についてはメンテナンスや売却などの選択肢を検討するとした。また、白金族金属の生産に取り組むアングロ・アメリカン・プラチナムについては分割を進め、ダイヤモンド関連事業に取り組むデ・ビアス(De Beers)も売却または分割を行うとした。

同社はこの発表の前に、オーストラリア資源大手BHPグループによる買収の提案を2度受けており、いずれも拒否していた。5月22日には3度目の買収提案を受けたが、これも拒否。ただし、今回についてはBHPとの関与を前向きに継続するとし、BHPからのオファーの提出期限を1週間延長するとした。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国、オーストラリア)

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