グリーン電力の欧州輸出に向け、カスピ海海底ケーブル建設検討へ

(カザフスタン、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、欧州)

タシケント発

2024年05月16日

カザフスタン、アゼルバイジャン、ウズベキスタンのエネルギー相は5月1日、ウズベキスタンのタシケントで開催された国際投資フォーラム(2024年5月8日記事参照)において、3国間のエネルギーシステムの相互接続に関する協力覚書を締結した(カザフスタン・エネルギー省ウェブサイト2024年5月1日)。3カ国で発電されたグリーン電力の余剰を、欧州市場向けに輸出するための送電網整備を目的としている。

3カ国は2023年11月にアゼルバイジャンのバクーで会談し、グリーン電力をアゼルバイジャン経由で欧州に輸出するプロジェクトを立ち上げ、共同作業グループの設立と事業化に向けた準備を継続していくとした共同声明を出していた(カザフスタン・エネルギー省ウェブサイト2023年11月15日)。

2回目となる今回の会談では、各国の送電システムの統合とカスピ海海底高圧送電ケーブル敷設プロジェクトの実現可能性調査を進めることで合意した(カザフスタン・エネルギー省ウェブサイト2024年5月1日)。カザフスタンのアルマサダム・サトカリエフ・エネルギー相は、同プロジェクトの費用が2024年末までに明らかになるだろうと述べている。

カザフスタン政府は2月、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、フランス、ロシア、中国の各国企業と合弁で、2035年までに総発電容量9ギガワット(GW)の風力発電を中心とするグリーン発電所をそれぞれ建設する計画を発表しており(クルシブKZ 2024年2月21日)、このうち、カスピ海周辺に建設される総発電容量7GWの発電所で作られた電力の余剰を欧州向けに輸出することを計画している。一方、ウズベキスタンは、アラル海に建設予定の総発電容量5GWのグリーン発電所からの余剰電力を輸出にあてる計画だ。

アゼルバイジャンは2022年12月、ジョージア、ルーマニア、ハンガリーとグリーンエネルギー発展および送電分野での戦略的パートナーシップ協定を結んだ。「黒海エネルギー・プロジェクト」と呼ばれ、送電容量1GW、長さ1,195キロメートルの海底ケーブルを黒海海底に敷設し、アゼルバイジャンで生産されたグリーン電力をジョージアと黒海を経由してルーマニア、ハンガリー、他の欧州諸国に輸送する計画だ。2024年3月に関係国が閣僚級の会議で合弁会社設立などについて話し合った。ブルガリアも参加する意向を示している。欧州委員会がこのプロジェクトに23億ユーロを提供する予定だ(カフカスインフォ2024年3月1日)。

(増島繁延)

(カザフスタン、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、欧州)

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