スタートアップとの協業チャンス、日・ベトナム企業が実例紹介

(ベトナム、日本)

ホーチミン発

2024年05月23日

ジェトロは423日にベトナムのハノイ市内で開催した「Inno Vietnam-Japan Meetup Vol.1」(2024年5月10日記事参照)で、「スタートアップとの協業とチャンスと課題」と題したパネルディスカッションを開催した。(1)日本の大手IT企業のクレスコ、(2)同出資先スタートアップ(SU)で、フードデリバリーとQRオーダーサービスを展開するCapichi、(3)日本の大手人材・情報企業のマイナビ、(4)同出資先SUで、求人サイトや履歴書作成サービスを展開するTopCVの計4社が登壇した(注)。

写真 パネルディスカッションの様子。(左から)マイナビ・ヂョン・マン・ホウン・ホーチミン駐在員事務所長、TopCVチャン・ヒエウ創業者兼CEO、クレスコ平澤淳経営戦略本部本部長補佐兼クレスコベトナム・ジェネラルダイレクター、Capichi森大樹創業者兼CEO、ジェトロ中島丈雄ハノイ事務所長(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子。(左から)マイナビ・ヂョン・マン・ホウン・ホーチミン駐在員事務所長、TopCVチャン・ヒエウ創業者兼CEO、クレスコ平澤淳経営戦略本部本部長補佐兼クレスコベトナム・ジェネラルダイレクター、Capichi森大樹創業者兼CEO、ジェトロ中島丈雄ハノイ事務所長(ジェトロ撮影)

Capichiとの協業理由について、クレスコの平澤淳経営戦略本部長補佐兼クレスコベトナム・ジェネラルダイレクターは、投資先として海外発日本人創業のSUを探しており、同社の多言語対応QRオーダーサービスは、今後インバウンドの活性化により、日本国内での需要が見込めると考えたためとした。Capichiの森大樹創業者兼最高経営責任者(CEO)は、協業すればクレスコの持つ日本でのネットワークも使えることが魅力で、実際に日本での展開では営業面などで優位に働いているとした。マイナビのヂョン・マン・ホウン・ホーチミン駐在員事務所長は、人材分野でベトナムのNo.1を目指せるSUを探しており、2018年にTopCVから打診があった際は出資を一度断っていたが、その後、プロダクトを含めて同社が成長していたため、出資を決めたとした。また、TopCVのチャン・ヒエウ創業者兼CEO は大企業と組む上でのポイントについて、共通の方向性を持つことが大切で、互いに学び合うという姿勢が大事だとした。

フードデリバリーや人材業界、テクノロジー活用で変化へ

Capichiの森氏は、ベトナムの食品・飲料(F&B)業界では、人件費もまだ安いため、日本のように人件費の高さを理由にSaaSサービス(注2)を求めるといったニーズは少ないとした。また、フードデリバリーは、新型コロナウイルス流行に伴うロックダウンで、社会からインフラとして需要が急速に拡大したが、その後は、F&B市場の成長に応じた需要の拡大となるとした。今後変化があるとすれば、自動運転やドローンでの配達など、配達手段に変化があったときとした。人材業界について、ホウン氏は、人工知能(AI)などテクノロジーの活用が重要となっているとし、AIで応募人材のスコアリングを行うなど、クライアントの採用にかかる労力や時間を節約するなどの事例を挙げた。

(注)登壇者のプロフィールは添付資料参照。各社の出資に関するプレスリリースは次のとおり。

(注2)サーバー提供者側で稼働しているソフトウエアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるサービス。

(三木貴博)

(ベトナム、日本)

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