第1四半期の外国投資、前年同期比14.0%増加

(インドネシア)

ジャカルタ発

2024年05月17日

インドネシア投資省は4月29日、2024年第1四半期の直接投資実績額を発表した。外資系企業による投資実績額は、前期比9.4%増、前年同期比14.0%増の136億2,910万ドルだった(添付資料表1参照)。

国・地域別投資実績額では、外国投資全体の31.1%を占めたシンガポール系が42億4,200万ドルで首位だった。投資実績件数も1万2,112件と最も多かった。次いで、香港系が18億9,770万ドル、中国系が18億7,480万ドル、米国系が10億8,800万ドル、日系が9億7,650万ドルと続いた。日系企業による投資実績額は前期比29.1%減、前年同期比4.1%減となり、前期の国別4位から5位に後退した。

業種別で最も投資が多かった分野は、基礎金属・金属製品・非機械および器具への投資で27億5,140万ドル(外国系企業の投資総額の20.2%)だった。次いで、鉱業が14億500万ドル(10.3%)、化学・医薬品が10億7,640万ドル(7.9%)だった(添付資料表2参照)。

地域別にみると、西ジャワ州での外国投資額が27億3,890万ドルで最大だった。次いで、中部スラウェシ州で17億4,210万ドル、ジャカルタ首都特別州で15億4,010万ドル、東ジャワ州が10億7,510万ドル、北マルク州が10億2,540万ドルと続いた。ジャワ島以外への外国投資をみると、中部スラウェシ州、北マルク州ともに業種別では基礎金属・金属製品・非機械および器具への投資が最大だった。

バフリル・ラハダリア投資相は「外資系企業と国内企業による川下分野(注1)の投資実現額(注2)は、75兆8,000億ルピア(約7,353億円、1ルピア=約0.0097円)に達し、第1四半期の投資全体の18.9%を占めている。そのうち、ニッケルなどの製錬所への投資が43兆2,000億ルピア、電気自動車(EV)用バッテリー分野への投資が8,000億ルピアだった。川下分野への投資は今後も増加していくだろう」との見解を示した。一方で、不確実性が高まる世界情勢、とりわけ中東情勢がインドネシア経済に影響を与える可能性について懸念を示した(「リプタン6」紙4月29日)。中東情勢を背景とした景気減速については、国内の複数の専門家からも懸念の声が出ている(2024年4月30日記事参照

(注1)鉱業分野における製錬所、林業部門における紙パルプ産業など最終製品またはそれに近い製品を製造・販売する産業分野を指す。インドネシア政府は、原料を国内で加工し、付加価値を付けることによる産業の高度化を目指している。

(注2)投資省は投資実績額について「投資実現額」という呼称を用いている。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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