香港の3月の小売売上高、16カ月ぶりに前年同月比マイナス

(香港)

香港発

2024年05月13日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は5月3日、2024年3月の小売売上高(速報値)を前年同月比7.0%減の311億9,100万香港ドル(約5,926億円、1香港ドル=約19円)(添付資料図参照)と発表した。16カ月ぶりに前年同月比でマイナスに転じた。

同月の小売売上高のうち、オンライン販売額は4.7%減の24億1,900万香港ドルで、小売売上高全体の7.8%を占めた。

品目別にみると、「その他消費財」を除く全品目で減少した(添付資料表参照)。減少幅が最大だった品目は「宝飾、時計および高級贈答品」で、17.7%減の41億7,500万香港ドルとなった。次に、「衣類、靴および関連製品」が16.7%減の36億8,500万香港ドル、「燃料」が14.5%減の7億6,500万香港ドル、「食品、酒類飲料、たばこ」(注1)が11.3%減の25億8,500万香港ドル、「耐久消費財」が5.9%減の48億1,700万香港ドルと続いた。

業態別にみると、「スーパーマーケット」(注2)は前年同月比3.4%減の39億6,500万香港ドル、「百貨店」は14.1%減の23億8,600万香港ドルだった。

香港政府報道官は、3月の小売売上高がマイナスに転じた一部の要因として、「比較対象となる2023年3月の基数が高かったことと今年のイースター連休にある」ことを挙げた。同報道官は今後の見通しについて、インバウンド観光のさらなる回復と家計所得増加以外に、「政府が推進するメガイベントの開催と消費活性化策が小売業を下支えするだろう」とする一方で、「香港居住者と観光客の消費パターンの変化(注3)が引き続き課題となり得る」との見方を示した。

香港小売管理協会の謝邱安儀主席は、3月の小売売上高の動きが弱くなった要因として、2024年3月末のイースター連休期間に多くの香港居住者が海外旅行や北上消費により香港外で消費をしたことや、中国本土は3月に長期休暇を設けていないため、来港客の消費が減少したことなどを挙げた(「信報」5月4日)。

(注1)スーパーマーケット以外での売上高。

(注2)百貨店内のスーパーマーケット部門の売上高は含めない。

(注3)中国本土からの観光客の消費パターンは、ショッピングなどのモノ消費から、街歩きやハイキングなどのコト消費に変化しつつあり、宿泊地も香港より安い近接した深セン市に変わりつつある。

〔何樂晴(エスター・ホー)〕

(香港)

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