大統領選挙が9月17日から10月16日の間に実施へ

(スリランカ)

コロンボ発

2024年05月14日

スリランカ選挙委員会は5月9日、大統領選挙を9月17日から10月16日の間に行うと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

今回の大統領選挙で争点の1つとなるのが経済政策だ。スリランカの各政党は5月1日、全国で党集会を開催し、IMFの金融支援プログラム(2023年3月22日記事参照)を巡って議論を交わした。

ラニル・ウィクラマシンハ大統領は自身が党首を務める統一国民党(UNP)の集会で、IMFプログラム下で経済安定化に向けた改革を継続するために、IMFの提案事項に沿った法案を近日中に国会に提出する計画を明らかにし、野党に法案への支持を求めた。

野党の統一人民戦線(SJB)党首のサジット・プレマダーサ氏は、今回選挙で勝利した場合は同プログラムを再検討し、経済活性化と国民の生活向上を目的に、IMFとの合意内容を修正する計画を語った。

国民の力(NPP)/人民解放戦線(JVP)党首のアヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ氏は同プログラムを巡り、外貨準備高の増強を目的とした国営企業の売却や対外債務の減免だけでは経済再建につながらないと指摘。その上で、IMFが財政再建のために国内債務の再編を推進したことで、従業員退職準備基金(EPF)の政府への貸付金が削減され、民衆が抑圧されていると非難した。

IMFはスリランカについて、現行のマクロ経済改革は成果を上げ始めていると評価した上で、経済の持続的な回復と安定的かつ包摂的な成長に向けて、固定資産税の導入を含む税徴収の強化や、腐敗防止のためのガバナンス強化、汚職への対処を求めている(2024年4月4日記事参照)。

スリランカの研究機関IHP(Institute for Health Policy)は4月29日に「国会議員選挙に関する投票意向推計調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を、翌30日に「大統領選挙に関する投票意向推計調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表(注)した。

その結果、国会議員選挙の投票意向調査では、SJBが38%でトップとなり、次いでNPP/JVPが35%、スリランカ人民党(SLPP)が8%、UNPが5%だった。大統領選挙の投票意向調査では、NPP/JVP党首のディサーナーヤカ氏が44%でトップ、次いでSJB党首のサジット・プレマダーサ氏が41%、ウィクラマシンハ大統領が8%と続いた。

いずれの調査でも、近年の付加価値税の引き上げや物価上昇による負担の増大を背景に、UNPやSLPP、SLFP(スリランカ自由党)などが連携する現政権への支持は低く、野党を支持する動きが強い。選挙結果によっては、IMFプログラムの履行が足踏み状態となる可能性がある。

(注)両調査とも3月に18歳以上の成人527人を対象に行われた。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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