IMF、スリランカのマクロ経済改革の成果を評価

(スリランカ)

コロンボ発

2024年04月04日

IMFは3月21日、スリランカに対する総額22億8,600万SDR(約30億ドル、注)の金融支援パッケージ〔拡大信用供与(EFF)プログラム〕の第2回審査について、担当者レベルでの合意に至ったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

IMF理事会で承認が得られれば、すでに拠出された5億800万SDRに加えて、新たに2億5,400万SDRが融資されることになる。理事会での承認には、(1)スリランカ当局による財政健全化に向けた事前措置の実施、(2)多国間パートナーの資金拠出が確認されることや、債務再編の適時かつ適切な進捗評価などによる金融保証審査の完了が必要とされている。

IMFは、金融システムの安定性を維持しながら、インフレ率の急速な低下、外貨準備金の蓄積、経済成長の兆しを背景に、マクロ経済改革は成果を上げ始めていると強調した。また、2023年12月末までの目標は社会福祉に関する支出項目を除きすべて達成、2024年2月末までの構造改革目標も、ほとんど達成されたと評価している。

その上でIMFは、経済の持続的な回復と安定的かつ包摂的な成長に向けて、固定資産税の導入などとともに、税徴収の強化や腐敗防止のためのガバナンス強化や汚職に対処することが極めて重要だと指摘した。債務再編に関しては、中国輸出入銀行や日本、フランス、インドが主導する債権国会合などによる公的債権者との正式な合意を完了させるとともに、主要な海外民間債権者と適時に基本合意に達することをスリランカ政府に求めた。

スリランカの実質GDP成長率は、2023年第4四半期に2期連続成長となる4.5%を記録した(2024年3月28日記事参照)。2024年3月のコロンボのインフレ率は前年同月比0.9%、2024年2月のスリランカ全体のインフレ率は同5.1%だった。2024年2月末時点の外貨準備高は45億2,000万ドルに達し、2024年1月の輸入額(15億1,180万ドル)を基準とすると、輸入の約3カ月分相当額を確保するまでに改善している。

(注)Special Drawing Rightの略で、特別引出権。通貨ではないものの、その価値は米国ドル、ユーロ、中国人民元、日本円、英国ポンドの5通貨のバスケットに基づいた国際準備資産。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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