米メリーランド州予備選でも大統領候補者に抗議票集まる、上院民主党候補はアルソブルックス氏に

(米国)

ニューヨーク発

2024年05月16日

米国メリーランド州で5月14日、11月の大統領選挙に向けた予備選挙、および同州選出の上院議員などの予備選挙が行われた。大統領予備選挙では、ジョー・バイデン大統領、共和党のドナルド・トランプ前大統領がそれぞれ勝利を確実にした。CNNによると、民主党予備選挙は開票率65%の時点でバイデン大統領が86.3%の得票率、共和党予備選挙は開票率79%の時点でトランプ前大統領が80%の得票率だ。他方、民主党では支持者なしが10.4%、共和党ではニッキー・ヘイリー元国連大使が20.0%の得票率となっており、他の州と同様に一定の抗議票が集まる結果となった。

同日には、メリーランド州連邦上院議員の予備選挙も行われた。民主党では、上院議員を長年務めてきたベン・カーディン氏の引退により、同氏の後任を巡る競争が激化していた。開票率64%の時点で、同州のプリンスジョージズ郡幹部のアンジェラ・アルソブルックス氏が54%の投票を獲得し、現職の下院議員を務めるデイビッド・トローン氏(41.9%)を破って党候補に確定した。トローン氏は、高級ワインを取り扱う米国大手の独立系小売店トータル・ワイン・アンド・モアの創設者で億万長者であり、今回の選挙戦に、上院予備選挙史上、個人では最大額となる6,200万ドル近くの資金を注ぎ込んだ。しかし、同氏は広告や公の場において、人種差別用語を使用する場面がみられ、民主党登録者の約46%が黒人有権者である同州で、結果に影響した可能性が指摘されている。

一方、アルソブルックス氏は、同州のウェス・ムーア知事やクリス・バン・ホーレン上院議員など、州内の主要な民主党議員から支持を集め選挙戦を有利に進めた。11月の上院議員選挙に勝利すれば、黒人女性として3人目の連邦上院議員当選者となる(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版5月15日)。なお、共和党の予備選挙では、事前の予想どおり、同州のラリー・ホーガン元知事が61.9%(開票率:79%)の得票率を得て候補に確定した。

また、連邦下院に関しても、全8区で予備選挙が行われた。11月の本選では、大半の選挙区で民主党が有利とされる。だが、メリーランド州第6区は、これまで登録有権者数では民主党が優勢だったものの、2022年に施行された区割り変更により、近年は共和党が有利な選挙区となっており、接戦が予想されている(「WTOPニュース」5月10日)。本区では、民主党からは元米商務省職員で、非営利団体幹部を務めていたエイプリル・マクレイン・デラニー氏が39.1%(開票率77%)、共和党からはニール・パロット氏が47.1%(開票率83%)の得票率を得て、それぞれの党の候補となった。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(樫葉さくら)

(米国)

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