ネパール政府、投資加速化を目的とした大統領令発出

(ネパール)

ニューデリー発

2024年05月23日

ネパールのナラヤン・カジ・シュレスタ副首相兼外相は4月29日、ネパール投資サミット(2024年5月10日記事参照)の閉会式に出席し、ネパールへの投資促進加速化を図ることを目的として、4月28日付で大統領令(注)を発出したことを明らかにした。諸外国と2国間投資協定の締結に向けた協議を行うため、政府としての枠組みを整備したとも述べた。

大統領令に定めた投資関連法令の主な改正内容は次のとおり。

  • 自然公園・保護地で特別保護地区を指定する。重要な国家プロジェクトなどの場合には、保護地区での開発許可を出すことを認める。
  • 特別経済地区(SEZ)に設立された企業は、生産開始の翌年から全生産量の最低60%を輸出する必要があるが、許可を受けた場合には生産開始後の最初の4年間は輸出の比率を最低15%とし、その後は30%とする。
  • 2021年土地法に定めた上限を超える土地を所有する企業などに対して、1年以内の免除申請や、所管省庁の承認を得た上での売却を認めることとする。

今回のサミット開催に先立ち、ネパール首相府傘下のタスクフォースが1月に、投資環境改善のための法令・制度改正について提言書を取りまとめていた。その後は改正に向けた具体的な進展が見られないとして、産業界からの懸念の声がサミット開幕直前まで報じられていた(「マイ・リパブリカ」紙、4月20日)。

在ネパール日本大使館による発表資料「図説ネパール経済2024PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、2022/2023年度(2022年7月17日~2023年7月16日)の累計直接投資額(コミットメントベース)で、ネパールへの最大投資国は中国(51.4%)、次いでインド(22.6%)となっており、両国で全体の7割以上を占める。日本による投資は全体の0.8%と、投資額順に見ると第11位だった。

(注)ネパール大統領令は、510日の議会再開後、60日間以内に上下両院の承認を得る必要がある。承認を得られなければ無効となる。

(広木拓、サンディープ・シン)

(ネパール)

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