第3回サウジアラビア水フォーラム開催、水資源の持続可能性に提言

(サウジアラビア)

リヤド発

2024年05月13日

第3回サウジアラビア水フォーラムが4月29日から5月1日までの3日間にわたって「水資源の持続可能性:私たちの責任」と題し、サウジアラビアの首都リヤドで開催された。会合には政府関係者、専門家など、世界各国から参加者が集まった(5月2日サウジアラビア国営通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

アブドゥルラフマン・アル・ファドリアブドゥルラフマン・アル・ファドリ環境・水資源・農業相による冒頭あいさつでは、リヤドに本部を置く国際水機関(2023年9月6日記事参照)の設立をはじめ、2027年に予定している「世界水フォーラム」の開催など、サウジアラビアが世界最大の海水淡水化生産国として水分野で極めて重要な役割を担っていることを強調した。

国営水道公社(NWC)は、将来のプロジェクトと投資の見通しに関するワークショップを開催し、水分野における産業の現地化に向けた取り組みについて紹介した。サウジアラビア海水淡水化公社(SWCC)が技術革新の意義と新興技術への投資に関連する課題について、サウジアラビア灌漑機構(SIO)が「灌漑効率と農業の持続可能性を高める革新的技術」をテーマにそれぞれワークショップを開催した。

「サウジアラビアにおける水資源の持続可能性の強化」と題して行われた対話セッションでは、国立水効率保全センター(MAEE)の管理により、同国の都市部において800万立方メートルの節水量が確認されたことが、環境・水資源・農業省により発表された。この実績は、水の利用者の体験価値とサービス品質の向上を目的としたアプリケーション「カシュフ(Kashf)」を含む、さまざまな取り組みによって可能となり、同アプリケーションは1万3,000人を超える利用者に恩恵をもたらしたという。

主な提言事項として、統合水資源管理(IWRM)(注)の原則とガバナンスの導入、環境に配慮した海水淡水化技術の研究開発への投資拡大、再生水の利用促進などがあげられた。参加者からは、人工知能などの先進技術の採用に加えて、水保全に関して国民の意識を高めることの重要性についても言及があった。

(注)水資源や土地資源、その他関連資源、水に関連するさまざまな部門を統合的に考慮しながら、開発および管理を促進するためのプロセス(Integrated Water Resources Management:IWRM)。

(平田若菜)

(サウジアラビア)

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