ASEAN中国FTAの第6回改正交渉、協定文の50%は妥結と発表

(タイ、シンガポール、中国、ASEAN)

バンコク発

2024年05月17日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は5月3日、改正ASEAN中国自由貿易協定(ACFTA 3.0)の第6回交渉が4月22日から26日にかけて、シンガポールで実施されたと発表した(共同議長:DTNのラチャウィット・ピヤプラモート副局長、中国商務部国際経貿関係司の余本林司長)。ASEAN加盟国と中国は、計画どおり2024年中に交渉を妥結すべく、協議を加速させることで合意した。シンガポール貿易産業省のロー・イエンリン国務相(貿易産業担当)(当時)は冒頭、交渉の推進を図るためのガイドラインを示し、(1)各交渉ラウンドの明確な目標、(2)2024年中の実質的妥結を達成するためのタイムフレームの設定を求めたという。

発表によると、協定文のうち50%は結論に至ったとしており、2024年9月に予定されているASEAN中国経済相会合(AEM-MOFCOM)では、ACFTA 3.0交渉の進捗を大きな成果として取り上げる予定となっている。なお、ACFTAの改正は、2024年のASEAN議長国であるラオスが目標として掲げる優先的経済成果物(PEDs)の1つだ。

交渉は8つの作業部会に分かれており、(1)物品貿易、(2)投資、(3)デジタル経済、(4)法制度、(5)税関手続き・貿易円滑化はシンガポールで議論された一方、(6)グリーン経済、(7)サプライチェーン連結性、(8)標準、強制規格、適合性評価手続きの3部会はASEAN事務局(ジャカルタ)で開催された。

ACFTA 3.0交渉については日系企業からの関心が高く、ジェトロにも問い合わせが寄せられているところだが、交渉内容については政府発表の概要を除いて、大部分が非公表となっている。ASEAN事情に詳しい専門家によると、交渉が難航している部分もあり、2024年中の実質的な妥結は困難と予想する向きもある。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、シンガポール、中国、ASEAN)

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