再エネ推進に向けたインドの州別電力移行状況、米研究所などが発表

(インド)

ベンガルール発

2024年05月08日

米国のエネルギー経済・財務分析研究所(Institute of Energy Economics and Financial Analysis:IEEFA)および英国のエネルギー関連シンクタンクのエンバーは、インドにおける州別の再生可能エネルギーへの電力の移行状況を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本調査は「脱炭素化:各州の電力部門がいかに炭素排出を効果的に削減できているか」「電力エコシステムの準備状況とパフォーマンス:安定した電力供給を提供しつつ電力を移行させる準備状況かどうか」「市場の有効性:再生可能エネルギーの成長を促進する市場条件と政策メカニズムが存在するか」を指標として、過去7年間でインド全体の電力需要の95%を占めた21州を対象として実施したもの。日系企業の進出数(注)が多い各州の総合評価は、高い順に次のとおり。

〇カルナータカ州(進出企業228社):3つの指標すべてで高評価。「脱炭素化」が一番進んでいる州で、電力消費量の37%が再生可能エネルギーによるもの。また、「市場の有効性」においても、競争力のあるグリーン料金(0.5ルピー=約0.9円/kWh、1ルピーは約1.8円)や、再生可能エネルギー政策2022-2027の発表、グリーン・エネルギー・オープンアクセス規則の採用などが評価された。

〇グジャラート州(39社):カルナータカ州と同様に3つの指標すべてで高評価。特に「電力エコシステムの準備状況とパフォーマンス」はデリー準州に次ぐ2位。配電公益事業体(DISCOM)の財務・経営パフォーマンスが高く、2023年度の電力不足はわずか0.03%と安定した電力供給ができている。

〇ハリヤナ州(383社):「脱炭素化」と「電力エコシステムの準備状況とパフォーマンス」の2項目で評価が高い。2019年から2024年2月までに約1.1ギガワット(GW)の新たな再生可能エネルギーが導入された。また、同州はデリー準州に次いで太陽光発電の割合が高く、2024年2月時点で再生可能エネルギーの約64%を占めており、2030年までに6,000メガワット(MW)を増設し、太陽エネルギー発電容量を22倍に増やすことを目指している。

〇マハーラーシュトラ州(232社):電力省が制定したグリーン・オープンアクセス規則を採用しているほか、1キロワット時(kWh)当たり0.66ルピーのグリーン料金の導入や400MWの揚水式水力貯水容量があり、「市場の有効性」の面で評価されている。

〇デリー準州(145社):「電力エコシステムの準備状況とパフォーマンス」は最高評価。屋根置き型およびオフグリッドの太陽光発電が再生可能エネルギー容量全体の71%を占めており、ソーラー分散型太陽エネルギーの導入が進んでいる。2027年までに、州全体の電力供給量4分の1に当たる4,500MWを太陽光で賄う計画がある。

〇タミル・ナドゥ州(190社): DISCOMの業績が悪く、分散型太陽光発電の送電割合が2%と低いため、「電力エコシステムの準備状況とパフォーマンス」が20位。

インドは、2030年までに500GW分の再生可能エネルギー発電容量の達成や、電力需要の半分を再生可能エネルギーで賄うことを2022年に開催されたCOP26で宣言しているが、州別の取り組み状況にはばらつきがある。

(注)在インド日本大使館が公表しているインド進出日系企業リストより、2022年10月時点の企業数。

(大野真奈)

(インド)

ビジネス短信 4a40ddcad281e5ad