IMF融資、第2回レビュー完了に向けた方針を事務レベルで合意

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年05月24日

IMFは5月8日、総額47億ドル(期間42カ月)に及ぶバングラデシュ政府への融資(2023年12月20日記事参照)に係る第2回公式レビューの完了に向けた方針について、事務(スタッフ)レベルでバングラデシュ政府との合意に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。IMFの事務方チームは4月24日~5月8日にダッカを訪問し、財務省関係者やバングラデシュ銀行(中央銀行)総裁らと面談を行っていた。同レビューは今後数週間以内に、IMF理事会の承認プロセスを経て完了する予定(注)で、これにより同融資の3回目の払い込み(約11億5,200万ドル、累計約23億1,010万ドル)が可能となる。

IMFは発表で、バングラデシュ政府による市場原理に基づく為替の変動相場制への移行措置としての「クローリング・ペッグ」制度の採用や、為替レートの再調整、貸出金利設定の自由化(2024年5月10日記事参照)を含むマクロ経済のインバランス(不安定さ)に対処するための重要な制度改革を評価しつつ、それら改革の流れを維持し、マクロ経済の安定化に向けた継続的な取り組みが引き続き不可欠とした。

また、世界的な金融引き締めによる想定以上の影響や、高い水準が続く国際的なコモディティー(食料やエネルギーなど)価格にバングラデシュ国内経済の脆弱(ぜいじゃく)性が相まって、インフレの高止まりと外貨準備高の減少を招いていると分析。これらが国内経済への下押し圧力となり、マクロ経済の課題に係わる複雑さが増しているものの、中銀が5月8日に講じた金融引き締め(政策金利の8.5%への引き上げ)によって、新たな為替相場制度導入の結果として生じるインフレ圧力の軽減が期待できる。さらには、政府は歳入を増やす構造改革に基づく財政健全化を進めつつ緊縮財政を継続すべきで、インフレ圧力が高まる場合には、さらなる金融引き締めに向けて備えるべきとした。

IMFは、こうした政策が効果を発揮すれば、マクロ経済の見通しは徐々に安定するものの、政府が講じている輸入抑制措置の継続により、2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)の実質GDP成長率は前年度比5.4%に低下すると予測する。一方、2024/2025年度は、輸入の回復と為替(通貨タカ安)圧力の緩和により、同6.6%までの回復を見込む。また、インフレ率は2023/2024年度平均で9.4%と高止まりするものの、金融引き締めの継続などにより、2024/2025年度は同7.2%まで低下するとの見方も示した。

(注)同発表によると、今回の事務レベル合意は、必ずしもIMF理事会の見解を代表するものではなく、レポートとして情報が今後さらに整理され、IMF理事会で議論・意思決定される。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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