1~4月の港湾貨物取扱量、前年同期比4.3%減、タマン港での取扱量減が響く

(ロシア)

調査部欧州課

2024年05月24日

ロシア商業海港協会の発表(5月18日)によると、2024年1~4月のロシア海港での貨物取扱量は前年同期比4.3%減の2億8,840万トンだった(添付資料表参照)。黒海に面するタマン港で年初からバルク貨物の積み替え料が引き上げられたことで、石炭の取り扱いが減少した。

貨物取扱量を品目別で前年同期と比較すると、コンテナ貨物(10.9%増)、穀物(11.8%増)、鉱物質肥料(32.3%増)、液化ガス(2.7%増)、食品(13.2%増)が伸びた。一方で、石炭(15.0%減)、鉄鋼(9.0%減)、鉱石(6.7%減)、石油製品(18.5%減)が減少した。海港所在海域別では、カスピ海域が40.7%増加したが、北極海域が6.1%減、バルト海域が2.5%減、アゾフ・黒海域が6.9%減、極東海域が3.2%減だった。

4月単月でみると、ロシア海港の貨物取扱量は前年同月比7%減の7,600万トンとなった。海域別でみると、極東海域が1%増だった一方、アゾフ・黒海域が14%減、北極海域が12%減、バルト海域が5%減だった。(「インフラ・ニュース」5月16日)。

アゾフ・黒海域の貨物取扱量が減少したが、特に同海域の主要港のタマン港で貨物取扱量が大幅に減少した。ロシア商業海港協会の発表(5月18日)によると、2024年1~4月の同港の貨物取扱量は900万トンで、前年同期比41.3%減少した。一因として、タマン港のバルク貨物ターミナルの積み替え料が2024年初に大幅に値上げされ、大手石炭会社が同港の利用を「ボイコット」したことがあるとみられる。2024年1月、ターミナルの積み替え料は1トン当たり最大38ドルまで引き上げられたが、同港を利用する大手石炭会社などはこれが不当に高額だとして、同港の利用をボイコットした。同港のバルク貨物ターミナルを運営するオテコは4月中旬、石炭を1トン当たり18ドルで積み替えることを正式に提案した。5月現在ではタマン港の石炭貨物積み替えは再開されている(RBK5月16日)。インフラ・ニュース(5月16日)によると、アゾフ・黒海流域の4月単月の乾貨物の積み替え量が前年同月比17%減少したことにより、4月単月の全体の取扱量は前年比14%減の2,300万トンとなった。

(後藤大輝)

(ロシア)

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