英政府、最先端の風力タービン試験施設に資金提供を発表

(英国)

ロンドン発

2024年05月27日

英国政府は5月14日、イングランド北部ノーサンバーランド州ブライスの最先端風力タービン試験施設の建設に8,600万ポンド(約171億1,400万円、1ポンド=約199円)を投じることを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。資金は、英国研究・イノベーション機構(UKRI)を通じてORE(洋上再生可能エネルギー)カタパルト(注1)に提供される。

同施設は、OREカタパルトの国立再生可能エネルギーセンターに位置し、タービンの試験、検証、認証を行う。

この試験施設は、ブレードは最大150メートル、ドライブトレイン(注2)は最大23メガワット(MW)の大型設備の試験・実証ができるように設計されている。OREカタパルトの試験・実証に関する広範な専門的知見と組み合わされ、タービンメーカーなどによる英国での技術開発を加速させ、大型かつ高効率な設備の開発を、リスクを抑えつつ信頼性を高めながら行うことができる。さらなる大型化の需要に備え、将来的にブレードは180メートル、ドライブトレインは28MWまで拡張可能としている。製品開発における実証、検証、認証プロセスを迅速化することも可能で、その過程で発生する二酸化炭素(CO2)を250万トン削減することができる。さらに、英国は、2030年以降に稼働する国内プロジェクトのライフサイクルを通したローカルコンテントを60%にする目標を掲げており、同施設は、国内サプライチェーンの強化によって目標の達成に貢献するほか、国内洋上風力産業への対内投資促進にも貢献するとしている。なお、同施設は、2024年の夏から建設を開始し、2028年に稼働の予定。

再生可能エネルギー業界団体のリニューアブルUKのダン・マクグレイルCEO(最高経営責任者)は、リニューアブルUKなどが発表した「2024年洋上風力産業成長計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」ではブレードなどの高価値コンポーネントに注力することで、今後10年間で英国経済を250億ポンド押し上げ、1万人の雇用を支援することができること示した。新たな洋上風力サプライチェーンチェーンを構築する絶好の機会があり、OREカタパルトによる最先端の研究はその達成に役立つとした。

(注1)洋上再生可能エネルギーのための独立系非営利イノベーション推進組織。政府系研究機関のイノベートUKが、英国の9つの重点産業分野に設立したカタパルトの1つ。

(注2)風力発電機に採用されている動力伝達システム。

(奈良陽一)

(英国)

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