ハンガリーのシーヤールトー外務貿易相が訪日、原子力協力へ協定覚書締結

(ハンガリー、日本)

ブダペスト発

2024年05月23日

ハンガリー政府は5月21日、日本を公式訪問したシーヤールトー・ペーテル外務貿易相が齋藤健経済産業相との交渉の後、原子力協力に向けた協定覚書を締結したと発表した。

同合意に基づき、両国はパクシュ原子力発電所(注)の既設炉の運転期間延長や、低出力、省スペースの原子炉〔小型モジュール式原子炉(SMR)〕の技術開発で協力する。シーヤールトー外務貿易相は、SMRが送電網に接続可能となれば、ハンガリーはこの技術活用に大いに関心があるとした。

同大臣は、両国は原子力エネルギーへのコミットメントの高まりと、今後の原子力発電設備容量の拡大に基づき、同協力覚書を締結したと述べた。また、原子力エネルギーは「最も安全かつ安価、予見可能で、環境にも優しい大規模発電手段」と強調した。

また、両国は2国間の水管理協力協定にも調印した。ハンガリー政府は、両国にとって環境負荷が小さく、経済、特に農業に役立つ方法で効率的に水を管理することは重要な目的で、この分野で重要な技術は今後、両国間の協力の重要な部分になるだろうとした。

シーヤールトー外務貿易相は今回の訪問で、日本企業数社の幹部とも会談した。外務貿易相によると、日本企業は最近の交渉で、自動車や電子機器、食品分野でハンガリーに約1億5,000万〜2億ユーロを投資するとを発表している。

同大臣は「グローバル経済の発展に日本の影響力は非常に大きく、ハンガリーのような輸出志向の自由経済国にとって、日本との協力は特に重要だ。ハンガリーと日本の協力関係は、ハンガリーとハンガリー経済を強化する上で、今後とも非常にポジティブな役割を果たすだろう」と強調した。

原子力エネルギーはハンガリーの発電と消費の両面で重要な役割を果たしており、同国の「国家エネルギー・気候計画(NECP)」にあるとおり、政府は2050年までの気候中立達成に向けて、長期的に原子力エネルギーの利用拡大を図っていく予定だ(2024年4月17日付地域・分析レポート参照)。

(注)ブダペストから南に130キロに位置するパクシュ原子力発電所は、ハンガリー唯一の原子力発電所で、国の電力エネルギーの40%以上を供給している。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、日本)

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