タイ国会がスリランカとのFTAを承認、事業者向けセミナーも実施

(タイ、スリランカ)

バンコク発

2024年04月04日

タイ国会が3月29日に開催され、内閣がタイ・スリランカ自由貿易協定(SLFTA)の批准案を提案し、審議・承認した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。審議されたSLFTAの協定文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび概要外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは国会のウェブサイト上で確認ができる。SLFTAは、両国がSLFTAの施行にあたり必要な国内要件・手続きの完了を通知した後、30日後に発効する予定となっている。

タイ商務省が事業者向けにセミナーを実施

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は3月7日、タイの事業者にSLFTAの概要を説明するセミナーを実施した。DTNの説明によると、SLFTAでは、両国は互いの輸出品に対して品目ベースで85%を市場開放する。タイはスリランカの輸出品1万1,414品目のうち9,706品目について、スリランカはタイの輸出品8,157品目のうち6,933品目を市場開放する。

品目はSLTFTA発効後の市場開放のレベルやスケジュールに応じて、主に4つのカテゴリーに分けられる。

  1. 輸入関税を即時撤廃する「ファスト・トラック」(全品目の50%相当)
  2. 輸入関税を発効後15年以内に段階的に撤廃する「ノーマル・トラック」(同30%)
  3. 発効後16年目に基準税率から50%削減する「センシティブ・トラック」(同5%)
  4. 関税削減スケジュールから除外する「エクスクルーシブ・トラック」(同15%)

詳細は、関税譲許表(タイ側PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)スリランカ側PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))から確認できる。

SLTFTAのメリットを受けるタイからの輸出品目としては、農産物の野菜、果物、トウモロコシの種子や粉、肉の加工品、飼料、水産加工品などがあり、工業製品では自動車・同部品、繊維製品、宝飾品、化学製品、プラスチック製品、電気機器、ゴム手袋、家具などが挙げられるという。また、タイの企業にとってスリランカはナイロン糸、ニット製品、潤滑油添加剤などの原材料調達先として有望で、サプライチェーンの多元化、コスト低減を通じた競争力の強化につながる可能性もある。

なお、2023年のタイとスリランカの貿易総額は4億1,530万ドルで、タイからスリランカへの輸出額は2億9,117万ドル、スリランカからの輸入額は1億2,413万ドルだった。タイの主な輸出品目は、宝石・宝飾品、石油製品、織物、ゴム、化学製品、プラスチック・ペレットなどだった。一方、スリランカからの主な輸入品は、宝石、貴石類、銀・金、衣料品、電気機器・同部品だった。

物品貿易以外では、SLFTAによりタイ企業は、コンピュータ関連サービス、研究開発、ホテル・飲食、スポーツ・レクリエーション、海上輸送などの事業で、スリランカにおいて100%出資が認められる。また、投資家の保護や投資紛争解決制度も含まれている。

協定の発効後に5つの自由貿易委員会(物品貿易委員会、原産地規則委員会、衛生植物検疫措置作業部会、サービス貿易委員会、投資委員会)が設置され、協定の実施や運用について評価が行われる。また、発効後、5年ごとに協定の見直しも行われる。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、スリランカ)

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