欧州製薬業界、EUのバイオ産業強化策に期待、包括的ヘルスケア戦略策定を要望

(EU)

ブリュッセル発

2024年04月01日

欧州製薬団体連合会(EFPIA)は3月20日、欧州委員会が同日発表したEU域内のバイオ産業強化策に関する政策文書(2024年3月25日記事参照)について、今後の成長に向けた政策実施の土台となると歓迎した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EUのバイオテック・エコシステムの発展は医療の効率化や保健システムの強靭(きょうじん)化にとって戦略的に重要とした点に賛同。さらに、革新的なスタートアップや中小企業の域内での成長に向け、ベンチャーキャピタルからの資金調達の重要性を指摘した。

EFPIAは、世界のバイオテックや製薬、ライフサイエンス分野における研究開発投資に占めるEUの割合はこの20年で25ポイント減少するなど、域外国と大きく差がある現況を憂慮。投資促進につながる規制やEUの国際競争力維持に向け、大胆で広範な政策が必要とし、包括的なヘルスケアおよびライフサイエンス戦略の策定を、次期欧州委の中心課題に位置付けるよう要請した。同戦略には、政策の一貫性を確保し、研究、保健、産業、域内市場政策を連携させるための調整された戦略的ガバナンスを含め、EUのヘルスケア分野の研究開発拠点としての地位を取り戻し、革新的な治療や技術の提供を実現するべきだとした。また、研究開発人材の育成・確保、資金調達や臨床試験における環境整備や、知的財産保護といったあらゆる分野を対象とする戦略が必要だとした。

さらに、EUの規制が、前例のないイノベーションや、開かれた貿易とサプライチェーンの構築、企業の市場参入障壁になってはならないと述べ、新たな政策や法令による産業競争力への影響評価などは定期的に実施する必要があるとした。

(滝澤祥子)

(EU)

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